2005/09/04(日)00:39
Θカトリーヌはテロか、刺客か
ジャズの都ニューオリンズが水没した姿は、悲しい。
貧しい黒人たちの酒場から滲み出した魂の叫びが、どれほどの人々の魂に響きわたったことだろう。
葬儀の列はジャズバンドと共に神の国まで、その魂を送り届けて行進していた。
巨大台風カトリーヌの被害影響は、かの9・11テロに匹敵するという。
ブッシュ体制では、圧倒的なテロ対策予算に比べ、自然災害対策予算は圧倒的に少ないのだそうだ。
はるか彼方より到来が予想される台風の被害に対して、住民の避難も被害への対策もほとんど効果的な対応が出来なかった。
台風接近に伴なう非常事態宣言も、それだけのアナウンスで孤立してしまったかのように感じられた。
金持ちはさっさと逃げ出し、貧困者は水の底に沈んだ。
アメリカの社会システムはここでもその姿をあらわしている。
被災後の街中の略奪行動もアメリカでことあるたびに繰り返される光景である。
そしてまた、軍隊が銃を持って派遣されて治安の回復を図る姿も毎度の姿である。
それから救援物資が届けられてゆく。
まだ本格的な救援活動は始められていない。
空から被災地を眺め、空港周辺だけ視察して、2日後に訪れた休暇中のブッシュは帰って行った。
ホワイトハウスでの演説で大統領は国際支援をも要請したという。
復興には数年かかるし、たくさんのマネーも必要だと。
スマトラ沖災害支援と同じように、富める国アメリカのハリケーン被害への支援を素直に行なえるだろうか。
はるかに大きな資金を対テロ対策に費やしながら、自然災害被害には回す金は足りないという論理が通用するのだろうか。
油の利権は莫大な利益を生み出すが、貧困民の救済では利益を生み出せないと言うのだろうか。
目の前の死を目にして、ブッシュ体制への批判がアメリカ国内でも高まりつつあるという。
巨大ハリケーン=カトリーヌの一刺しは、あるいはブッシュ体制を崩壊に導くきっかけとなるかもしれないと言われ始めている。
ひずみのあるシステムは、ほんの小さなトゲの傷で破綻してしまう。
人間の浅はかな知恵などというものを吹き飛ばしてしまう、自然の力というものが、実はその人間社会をまともにしてくれているのかもしれない。
台風14号の接近を気にしながらも、一強独裁的体制の世界の流れも気になるところである。