テツの「ＰｕｒａＶｉｄａ！」日記

この日は練習試合の予定でした。
しかし、昨晩から降り続く雨によって中止に。
その電話連絡で朝の５時２０分に起きました。

眠れそうにない気がしたのと、
雨音がなんだか気持ち良かったのとで、
二度寝するのをやめ、パソコンで作業を。

コスタリカのコーヒーと
コンビニで買ったパンを口にしながら、
昼過ぎまで続けました。

そして、
コスタリカ時代の恩人のお見舞いへ。



　「定められた終わり。」
　「あのひのまま。」
　「かがやき。」
　「あなたの病室。」
　「田舎時間の幸せ。」
　「幸せのカタチ。」
　「素敵な奇跡を。」
　「これからも。」



まだ日中だというのに、
終点の駅に着いても僕は眠ったままで、
どこかの優しいおじさんが声をかけてくれて
ようやく目覚めました。かなり時差の伴った二度寝です。

その終点駅・武蔵小杉駅からバスで
恩人の家へ向かおうとすると、
次のバスが来るまでまだ２０分近くあったので、
カフェに入って読み終わった本のまとめをすることに。

脳科学者・茂木健一郎さんの著書『やわらか脳』。

彼が綴る言葉はとても素敵で、
気に入ったそれをノートに書いてると
自分の心が躍動し始めてきました。

たった２０分間での出来事。
時間は長さではなく、その濃密さなんだ。

その嬉しい気付きを
どこかのポケットにしまいバスに乗り込みました。

バス旅のお供は
本ではなく、オンボロＣＤウォークマン。
この日の中身は、“モンゴル８００”の『ＭＯＭＯ』。

一つひとつの音や歌詞が、
躍動してる心の隙間にスルリと侵入してきます。

こういう状態のときは
もう何回も聴いてる曲が違うもののように思えてきて、
何にもしないでも、楽しくて、嬉しくて、落ち着いてて。

とその時、ひとつの歌詞が響いてきました。



　「　夢に描く空　夢に浮かぶ雲
　　　さぁ　目を閉じて　風の匂いをかごう　あるがまま　」



思わず空を見上げてみると、
雨雲はすっかり流されていて、
水色な空と、真っ白な雲が。







見入ってしまいました。

空と雲の色にあんなに感動したのは、
実際いつもより色が綺麗だったからなのか、
それとも僕の心が躍動してからなのか、
結局それはよくわかりませんでしたが、
飽きずに、ほんとに飽きずに見続けてしまいました。

大きなビルの上を、穏やかに流れていく雲。
動かないものと、流れ行くもの。
そのコントラストに、何故だか不思議な気分が。
そこには、何かの真理が隠されているのでしょうか。

家に到着。

恩人と奥さんは
出逢った頃と何ら変わらない優しさで、
僕を迎え入れてくれました。

通院してる病院の看護婦さんの子供さんが
サッカーをやってると聞いたら、
僕のコスタリカでの話をしてくれたりする恩人。

野菜不足の僕の食生活を気遣って、
煮物を作っていてくれたりする奥さん。

そんな素敵な人たちと、
また同じ時を共有することが出来ました。

たったそれだけのことが、
じつはどれだけ幸せなことなのか。

さっき書いた“モンゴル８００”の歌詞の続き。



　「　風が抜ける道　僕ら求めた道
　　　光る風の中　あなたという奇跡かみしめて

　　　昨日より少しでいいの
　　　少しでいいから　胸を張るんだ
　　　そこに広がるのは　空の青
　　　気づかず過ごす優しさの下　僕らは生きる　」



この日は、恩人の５４回目の誕生日でした。
僕はそれをすっかり忘れてしまっていました。
久しぶりだった朝の雨が、気づかないダメな僕を
恩人のもとへ連れてきてくれたのでしょうか。

よかった、来れて。




電車で起こしてくれたおじさん。
茂木健一郎さんの本の言葉。
“モンゴル８００”の歌詞。
綺麗な色した空と雲。
偶然降ってくれた朝の雨。

そして、僕を人間に戻してくれる恩人夫婦。


そんな優しさの下で、僕は今日も生かされて。






『愛するということは、
　我らが互いに見つめ合うことではなく、
　ともに同じ方向を見つめることだ。』

　　　　　　　　　　　　「星の王子様」より