待つことの大切さ
かつて待つことはありふれてたことだった、と大阪大学総長の鷲田清一氏。一時間に一台の列車を待つ。数日後の恋文の返事を待つ。万葉集や古今和歌集など、待ち遠しさを歌うことが定番の歌謡の手管があった。それが現在はあらゆる面で待たなくてよい社会になった。物事を長い目で見る余裕がなくなり、結果が出ないとすぐに別のやり方を追い求める傾向も。そんな現代を鷲田氏は待つことができない社会になったとも評する(「待つ」ということ)しかし、生活の中で、待つことが必要な場合は少なくない。子育てはその一つ。かつてS新聞で紹介されたが、平均的な母親で一日に40回も「早く!」とわが子に言っているとか。ぐっと言葉を飲み込み、待ってあげることが、子供の成長につながる場合がある。「待つ」ことは、必ずしも受身なのではない。相手を信じること。変わるための力になろうと祈り、励ましを送り続くること。それもまた、「待つ」ということだ。家庭であれ、会社であれ、組織であれ、人を育てる要諦である(名字の言)