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旅の途中、寄り道の日々

旅の途中、寄り道の日々

第3章『カムイ』

無断転記禁止です。

RS小説です。

小説ですのでスキルなどの効果が多少どころかかなり違っていても突っ込まないでください。

公式と多少設定が違っても深く考えないでください。

人が死んだことに対してBIS連れてくればいいんじゃないかという疑問は持たないでください。

僕の考えとしては一般人は死にます。

それを踏まえて。

第3章『カムイ』始まります。


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俺は伐木町ブレンティルの婆ちゃんの家に住んでいる。

つい、この間までは港町のブリッジヘッドってところに家族で住んでたんだ。

美人の母ちゃんと元気で明るい父ちゃん。

そして弟のカムロと俺。

でも、今は父ちゃんと母ちゃんはいない・・・

謎のシーフってヤツに殺されちまった。

俺はあいつに復讐するために強くなることを弟と誓った。

強くなるにはどうしたら良いんだろう。

俺は自然に父ちゃんのことを思い出してた。

太く強そうな腕。

そういえば父ちゃんはいろんなものを担いでたな・・・

「父ちゃん・・・」

思い出してたら、ちょっと悲しくなって涙が出てきた。

「ダメダメダメだ!これは涙じゃないぞ、汗だ、うん!」

俺は独り言を言っていた。

「よっし!何か担ぐんだな!」

そして俺は2階の俺の部屋から1階の居間にいる婆ちゃんのところへ行った。

「婆ちゃん!何か担ぐものはないか!」

「なんだい!いきなり」

「俺、強くなりたいんだよ!そのためには体を鍛えないと!」

「うふふ、男の子だね~アンタは」

「とりあえず今は何も手伝ってもらうようなことはないね~」

「そうか・・・」

「なぁ、婆ちゃん」

「なんだい?カムイ」

「強くなるにはどうしたら良いかな?」

「そうだね~。やっぱり体を鍛えたり技を覚えたりかね~」

「でもね。婆ちゃんは強いってことは体の強さとかよりももっと大事な強さがあると思うんだ」

「もっと大事な強さ?」

「そう、それはね。“ここ”の強ささ」

そういって婆ちゃんは俺の胸を指差した。

「いいかい?カムイ、たとえどんなに体が強くたって技がすごくてもね、“ここ”が弱かったら意味がないんだよ」

「心の強い男になりなカムイ!」

婆ちゃんはニカッっと笑って俺の頭をなでた。

「どうすればその『ココロ』っていうのは強くなるんだ?」

「まずは人に優しくすることかね、そして人を恨まないこと」

「まずは何をすればいいんだ?」

「そうだね・・・婆ちゃんの肩をトントンってしてくれるかな?」

「よっしゃ!任せろ婆ちゃん!」

そして俺は婆ちゃんの肩を叩いていた。

「キャー」「ウワァァー」

突然、外が騒がしくなった。

「なんだい、騒がしいねぇ」

「俺、外見てくる!」

そして俺は外に出た。

「モンスターが町の中に入ってきたぞ!」

大きなクマ3匹が町の中にいた。

「にっ逃げろ!」「自警団はどうしたんだよ!」

逃げる人々。子供は皆、親に抱えられている。

俺は完全に逃げ遅れた。

クマも俺に気付きこっちにやってくる。

俺は走る。どんどんクマは近づいてくる。

3匹が右左後ろから追ってくる。

追い詰められた先は・・・丸太の壁だった。

行き止まり。

俺は周りを3匹に囲まれた。

クマが立ち上がって襲ってきた。

もうだめだ・・・。俺は半泣きで目をつぶる。

その時だった。

『ドゴ!ドン!』

クマはその音とともに倒れた。

倒れたクマの後ろには、男の人がいた。

その男は瞬きするまもなく残りのクマも倒した。

「大丈夫かボウズ!」

唖然としてる俺はその言葉でハッとした。

「う、うん」

強い。俺は子供ながらにそう感じた。

それに何より『カッコ良かった』

「そうか!無事で何よりだ!」

俺は言う。大した判断なんかしてない。

「おっ、俺を弟子にしてください!強くなりたいんです!」

「面白いボウズだな!いいぜ!ただ弟子になるからには最後までついてこいよ!」

「うん!」

「返事は『うん』じゃねぇ!『オス!』だ!」

「オス!」

「よろしい!」

7歳の時、俺は師匠に弟子入りした。

この人の許で鍛えれば強くなれる気がしたから。

それからの修行は厳しかった。

最初は木を殴ったり、蹴ったりだったのが、修行の中盤になると飛んでくる矢や石を交わしたり。危うく死に掛けたりすることもあった。

しかし。俺は父ちゃんと母ちゃんを殺したシーフよりも強くなるという思いで全てを乗り越えてきた。

修行の後半になると実践と称して山に篭ったり熊を狩ったりもした。

そして8年が過ぎた。

「いよいよ、修行も今日で最後だな!師匠!」

「ああ!お前も明日からは冒険者として旅に出るんだ!」

「で?今日の修行は何をするんだ?」

「今日の修行は俺との組み手だ」

「師匠との?」

「ああ、ただし、本気でだ。お前の8年間の成果を見せてみろ!」

「しゃぁ!行くぜ、師匠!」

そうして、俺と師匠は戦った。

強い。俺は防ぐので精一杯だった。

「ハッ!」

師匠の得意技『かかと落とし』だ。

1撃をかわしても次の高く上げた足が斧のごとく振り下ろされる。

だが・・・。分かってるならば防げないこともない。

俺は1撃目をかわし、次の2発目を・・・受け止めた。

「なっ!」

驚く師匠。

「オラァ!」

俺は叫び声を上げ師匠のみぞおちを突いた。

俺の『急所打ち』が決まる。

「見事だ・・・!」

師匠はそう言って倒れた。

俺は勝った。

30分ほどして師匠が目を覚ます。

「いい一撃だった」

「修行はこれで終わりだ!付いて来い!」

「オス!師匠!」

そして俺と師匠は山の裏の天然の温泉にいる。

どうやら師匠がこの間の山篭りのときに見つけて石を積んで作ったらしい。

「やっぱ、戦いの後は風呂だよな!カムイ!」

「そうだな!師匠!」

確かに気持ちよかった。

「なぁ、カムイよ」

「なんです?師匠」

突然、師匠がまじめな顔で聞いてきた。

「8年前。お前は強くなりたいと言った。あれはそこらのガキとは違う意思の強さを持つ目だった。だから俺も弟子にしたんだがな」

「なんでお前は強くなりたいんだ?」

「それは・・・あるヤツに復讐したかったからです・・・」

「復讐?」

「はい、俺は7歳の時に母と父を殺されました、だから母と父を殺したヤツに復讐したかったんです。でも・・・」

「そうか・・・。お前は俺と似てるな」

「えっ?」

話の途中で師匠が喋りだした。

「俺もな、お前と同じくらいの時に父と母が殺されてるんだ、そして俺は今のお前と同じように復讐を誓って、修行して強くなった」

初めて師匠の過去を聞いた。

「でな、修行して強くなって、いろいろあって殺したやつを探し出したんだよ」

「それで、復讐は達成したんですか?」

俺は聞いた。

「ああ、できたさ。でもな・・・」

「でも?」

「後に残ったのは『虚しさ』だけだったよ」

「虚しさですか・・・」

「復讐を糧に生きてたからな、そこで俺の人生は終わりかけてたんだ」

「目標を失ってた俺はこの町に来た、そして俺はお前という変なボウズに出会ったわけだ」

「お前に一つ聞きたい」

「なんです?師匠」

「復讐の後に残るのは虚しさだけだぞ。それでも復讐をするのか?」

俺は答える。

「はい」

「そうか・・・」

ちょっと師匠は残念そうな目をしていた。

「でも・・・」

「なんだ?」

この『でも』はさっきの続きだ。

「俺は復讐じゃなくて父と母を殺したやつと勝負したいと思います」

「勝負?」

「勝負して。ぶん殴って。父と母の墓の前で謝罪してもらうつもりです」

「謝罪してもらった後はどうするつもりだ?」

「そうですね・・・『ヒーロー』になりたいです」

「『ヒーロー』?」

「はい、困ってる人を救う正義の味方に俺はなりたい。いや、なってみせる」

これが俺の気持ちだった。

「ハッハッハッ!良いじゃねーか!夢はそのくらい大きくないとな!」

「まだ、誰も救えてませんけどね」

「いや、救ってるさ」

「えっ?」

「俺が救われた。目標を失ってた俺にお前は目標をくれた」

「人はな、誰かに救われ、誰かを救ってるんだぜ!」

その言葉は俺の心に強く響いた。

「カムイ!俺の目標はな!この町で道場を始めてこの町を守れるやつを増やすことだ!そして、お前は俺の一番弟子だ!」

「だからがんばってこいよ!」

「オス!師匠!」

-翌日-

俺は町の出口で見送られていた。

「じゃあ、気をつけるんだよ」

「今までありがとう婆ちゃん」

お世話になった人達もいる。

「がんばってこいよ!」「せいぜい死ぬなよ!」

「皆、ありがとう!」

師匠の姿が見えなかった。

「ウォォォー。待て待てー!」

あっ、走ってきた。手には袋を持っている。

そして袋から『鉤爪』と『靴』を取り出した。

「これは俺が昔使ってたものだ、冒険に出るなら手袋とブーツじゃ心細い、これを使え」

そう言って師匠はトラの爪でできた特殊な鉤爪と鉄板で出来てるのに金色に輝き驚くほど軽かった。

「ありがとうございます・・・お世話になりました。師匠!」

「おう!どこまでも行け!お前の前に立ちふさがる壁があるならその拳でぶち壊せ!」

「オス!」

ヒーローになりたい。

その思いはここから始まった。



                         続

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