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父が家を出てから
母は私達には悟られまいとしていたようだが、同じ女性として母の動揺はわかっていた。 長らく相当ショックをうけていたようだ。 両親が離婚して約20年 母は、明るくポジティブに物事を考え前向きにがんばってきた。 それは出る言葉や態度からもわかった。 手に職を付け、パートに出ていたら頂けない・・とっいてもほんの僅かだが給料を取っている。 もっとも驚くことは年々若返ってきたと言うことだ。 商売をしていた頃母の笑顔はあまりなく、 どこか疲れた暗い雰囲気だったが、 自立し自分の時間を有し自由に飛び回っている。 一方父は・・・ あくまでも自分殻から出れないでいるようだった。 不景気な社会情勢の波をまともに受け年老いた父は仕事を失った。 出る言葉はいつも自分をいたぶる言葉やネガティブな言葉だった。 そんな父を見るのが辛かった。 そして援助してあげることの出来ない自分にも腹が立った。 実直だが、物事を深く深く考えネガティブな思考と発想をし続けた父。 もう少し考えたら?と思うほどのうてんきだがポジティブに生きてきた母。 現在の二人の状況に大きな違いが出ている。 父のそのような捉え方や性格が形成されたのも、 厳しい時代に育ち育まれたものであるということや、心底純粋故に ということもあるであろう。 父の名誉のために次のことは書きとめておきたい。 人のちょっとした振る舞いや出る言葉から敏感に何かを察し、 そのことにより、人の心の動きや考えを瞬時に見抜いたりする。 父は人の洞察力に優れ、周囲への気配りは私から見ても驚くほどすごい。 父と一緒にの近所のスナックに連れて行かれたときのこと。 50代以上のお客さんばかりで気持ちよさそうにカラオケで演歌を楽しんでいた。 私に歌えとうるさい。(娘が少し自慢らしい) このお客さんの層を考えて空気を変えないような曲を選べとか、 自分が喋っていたり他の事をしていたとしても、誰かが歌い終わったら必ず拍手をするとか、それは驚くほど相当周囲に気配りをする人だった。 (何故家庭ではこうではなかったのか!?と思う) 父は長い間自分を追い詰めてきたかのような生活をしてきた。 40代後半からの男の一人暮らし、さぞかし不便であっただろうと思う。 今ではあの当時の四畳半のアパートからは脱出しているが、 それでもさほど代わり映えのない暮らしをしている父。 口を開けばネガティブな言葉の数々・・・ 「お父さんはもうあとは死を待つだけだ」などとひ弱な事を聞かされる方はかなり疲れる。 そんな父にいつ会っても心が傷み、暗い気持ちになった。 だんだんと会う機会が減ってきた。 父の言葉で娘がこんなに苦しい思いを感じているのがわからないのかといつも腹立たしく思っていた。 一昨年のお正月だったか、父が私達に初めて重い口を開いた。 親がこんな事で子供に迷惑を掛け何も残してやれなかった。 ひどい思いをさせてきたと泣いたのだ。 父も年を取った。 母も泣いた。 胸が張り裂けそうになったが、 「何言ってるの~!こんな経験そう簡単には出来ないぞ! 親のお陰でこんな経験できて学べてよかったでしょ!くらい言っ て丁度いいのよ」とあえて明るく言った。 そう言ってくれたらどれだけ心が軽く、救われたことか・・・ ネガティブな言葉は、余計に胸に突き刺さる。 親には親としての威厳を持っていて欲しい。 誰もが思うことだろう。 弟も「あの時のことがあって今は本当に良かったと思っている。 そうそう出来ない経験をさせてもらったお陰で大切なことをたくさん学べた」と言ってくれたことがありがたかった。 成長していてくれたんだなと姉として心が救われた。 もちろん私も同じ気持ちだ。 あの時のことは私達姉弟にとっての苦労ではなく両親にとっての苦労だ。 私達はあの出来事のお陰で辛い気持ちは相当味わえたが、そのお陰でその後のことがどれほど心の成長を与えてくれたことか計り知れない。 心底、感謝できる。 さて、この日記のテーマであった、「父への気持ち 素直になるために」だが・・・ 私が父に会いに行けない、連絡もしない・・・ ということ・・・ 以前父が「自殺したい」と電話で言ってきた。 猛烈に腹が立った。 どこまで精神的に苦しめるんだろう・・・ 親としてのプライドも棄てたのか!? 幼い頃から暴力を振るってきた、家族を棄てて出ていった・・・ そんな父を許していないからではなかった。 ネガティブな言葉を吐く気弱な父を見たくない。 落ちぶれた、そんな父を見て悲しくなる“自分の心が嫌なのだ。” 自分なんだ! そして、お金の援助をしてやれないし等と正当らしき理由をつけては逃げているだけなのだ。 弟に以前こんな事を言われた。 昨年祖母が亡くなったときに もっとこうしておけば良かった、と出来なかったことへの後悔の念 が自分を苦しめた。 「明日、もし父がこの世を去ることがあったとしたら、またそんな後悔の念で苦しむことになるよ」と。 本当にその通りだ。 そうと頭でわかりながらも、出来ない自分がいる。 自分に心の余裕がないのだ。 心の小さな自分から卒業して行くためにも、自分を確立しよう。 甘えた今の自分から抜け出すためにも更に魂を磨き、自分を好きになろう。 それまで父は待っていてくれるだろうか・・・・ 最後に、 この赤裸々な日記を読んで下さった皆さんに心からの感謝を申し述べたい。 心から、ありがとうございました。 合掌 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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