2004/10/23(土)00:01
テレーズ教壇で困る
語学が不得意な人って、大体文法が苦手ですよね。フランス語を教えるとき、なるべく、文法にこだわらないような教え方をしているのですが、今日は参りました。
大学生が先週冠詞について質問をしていたので、今日は答えるつもりで準備をしていました。ところが、別にでた新しい質問にはうまく答えることができませんでした。
フランス語でなくても、英語でも冠詞は難しいですよね。
この場合、定冠詞か不定冠詞か?時々迷ってしまいます。
とても不思議なのは、ネイティブスピーカーはあまりきちんと説明してくれないのです。「この場合はこう言う」で片づけるのがほとんど。
なぜなら文法というのは、まず言葉があって、それを説明するためにつくられたものだからです。
私たちは日本語を普通に話していますが、文法を説明せよと言われると戸惑うことがあります。それと同じです。
英語でよくでてくるS+V+Oなどという5文型方式がありますね。アレも、ある文法学者の説が導入され、日本では一般的になっているだけで、他の分類の仕方もあるのだそうです。
ただ、日本ではそれがよく使われているという事のようです。
私がフランス語を習った頃は、文法がとても大事といわれ、冠詞についてもいろいろと悩んでいたものですが、だんだんと、まず、下手でも、少しくらい間違っても言葉を使ってみることが大事。それから文法的にきちんと、という風に考えるようになりました。
それに一番効果があるのは、よく使われるフランス語を丸ごと覚えることです。
初級だととても効果があります。
英語が苦手な人に、中学校3年間の教科書を丸暗記しなさいと言いますが、アレは正しいと思います。文を覚えていると、いざというとき考えなくても文章が口から出てきます。
あくまでも初級ですけどね。中級になったら、もっとちゃんと文法もやった方がいいのですが…
大事なのは、会話→文法という順番で、文法→会話となると、まず間違いなくできなくなります。英語苦手の方、思い当たりませんか?
そんなわけで、最近授業ではあまり文法を詳しくやらなかったのですが、この学生が突っ込んできたので、ちょっとばかり困ってしまいました。
テレーズ、教壇で困るの図。誰です、見たいっていってるの!
そしたら、学生自身が自分で辞書で答えを調べてしまいました。ま、それが一番いいんですが、テレーズの出る幕はありませんでした。
悔しいので「今度から文法の答えはあなたに任せるから」と言ったのですが…
まあ、教えない教育やっているかも知れません…がちょっと情けないかも…
ちょっとばかり落ち込んでいるのですが、書いてみたら元気でてきました。要するに学生さんたちが勉強すればいいわけです…
が、受験教育というのも困ったものだと思います。なぜかって?それは答えはひとつだと思わせてしまうからです。
教師の答えが正しい答えでも、回答集の答えが正しい答えでもない場合があるのです。
世の中の多くのことは、正しい答えはありません。だけど、何か自分なりの答えを出さなければならない。それがつらいところです。
受験を通過してきて、それがうまくいっていればいるほど、正解を求める事が多いような気がします。正しい答え、うまく行くやり方を求めすぎる。
自分の将来についても、勉強の目的についても、なんだか、答えを探しすぎてつかれているような気がします。本当は、明日生きているかどうかもよくわからないのが人という存在。
とりあえずやってみる人生の中から何かが生まれてくると思った方がいいのにな。私が接している若い人たちを見ていると、ちょっとそんな気がします。
受験勉強もほどほどにといったら、叱られるかしら…