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インタビュー Vo.6

TIFF学生応援団が、映画祭とそこで上映される映画の魅力を学生目線で伝えるために映画祭スタッフなどにインタビューする特別企画第6弾です。

映画監督であり10月22日(土)に開催される映画人の視点『JUZO AGAIN』のアシスタントも務め、さらには普段は現役の大学生として活動をする田崎恵美さん。今回の対談では、そんな彼女に映画や監督、学生生活についてなどを学生目線も交えて伺ってきました。





下野篤史(TIFF応援団) × 田崎恵美さん(映画監督)

映画人の視点

―今の若い世代の人はあまり映画を見ないといわれていますが、田崎さんはどうですか?

田崎恵美さん(以下:田崎さん):私も今の若い世代の人と同じかも知れませんね。映画館に行って映画を見るようになったのは、東京に出てきてからですね。最近です(笑)。(地元の)鳥取にいるころは往復1200円、1時間かけてようやく映画館が1つあるくらいでした。なので、何で映画を見てたかといえばNHK BSで放送されていた映画を、よく見ていました。映画を好きになったきっかけは、子供の頃おじいちゃんと一緒にチャップリンの映画を見てたことですかね。当時はチャップリンとか知らないまま見てましたけど(笑)。
今は情報ツールが山ほどあるので、その中から「映画」をどう伝えていくかは難しい課題かもしれませんね。私たちの中でも、まだかろうじて「見たい」と思う作品があることはいいことですよね。それを通じてでも、少しずつ映画のよさが浸透していけばいいのかなと思いますね。映画館で見ることって、なにか普段とは違った感覚が得られると思う。その場の人と、同じ時間を過ごす一体感みたいなのってありますよね。これは、映画館の魅力かも知れませんね。

―今回の映画人の視点『JUZO AGAIN』のアシスタントとして参加されたきっかけは?>

田崎さん:昨年、ユニジャパンの経済産業省人材育成事業の一環で、『ふたつのウーテル』という作品を撮ったのですが、カンヌ出品の際に映画祭のスタッフの方にお世話になったので、その恩返しという意味でも参加しようと思いました。また、伊丹十三さんの作品ってリアルタイムでギリギリ見れなかった世代だったので、今後若い世代の人にも見てもらいたいと思ったので参加することに決めました。伊丹さんの作品は、いい意味での執着心がものすごく感じられました。それと同時に、私が生まれる前に、「こんな作品を撮れる人がいたのか」という感覚にもなりました。まだ何も映画の知識がなかった時に現場の方が、伊丹さんが書かれている本は映画の教科書だと。実際に読んでみましたが、ものすごく勉強になりました。普通映画監督は、自分の手の内を明かすようなことはしないんですが、そういう意味でも伊丹さんはすごいですね。なので、そういった伊丹さんの魅力を来場された方に、一人でも多く伝えられたらなと思います。

映画人の視点


―映画監督になろうと思ったきっかけは?

田崎さん:18歳のときに将来のこととか「大きなこと」を考えていたんです。でも私は、あまり短期的に物事を考えられなくって・・・(笑)。たとえば、「○○の会社に入りたい」とかそういうのではなく、楽しい人生が送りたいと思っていたんです。ずっと、そう思えるようなことを探していました。その後、東京に出てきてアルバイトなどを通じて役者をしている人とかと知り合うようになっていったんです。その役者の人たちは、明日の食事や寝床とかは心配でも、毎日楽しんでるので30年後とかは心配じゃないなと感じたんです。映画って、一生かかっても全部の作品は見れないし、一生かかっても映画はわからないじゃないですか。そういうところが、私が思っていた長期的なことだったので、そこがきっかけですね。
最初は監督というよりも、全部の役職をやろうと思ってました。だから照明も録音とかもやってました。とにかく映画の撮影が好きになったんです。でもどうしても、1つの作品の撮影を終えて、次の作品の撮影や他の監督の作品に移る間に撮影しない日が続くんです。私はそれが嫌だったんで、自分自身で撮ろうと思い最初の1本目を作りました(笑)。最初の1本目は、本当にこれが撮った理由でした(笑)。でももちろん反省点もあったので、次回作に・・・という気持ちになり2作目、3作目・・・と監督としての道をスタートさせました。今は誰でも監督になれる権利はある。その中で、私は監督として映画の面白さを伝えていくという義務もあるのかなと思います。それに、映画を通じて自分の周りだけじゃなく、社会も国も超えて人間同士が相互理解し合えると思う。やることはいっぱいありますね(笑)。


―監督「田崎恵美」として大事のしていることは?

田崎さん:人の人生であったり、いろんな時間を体感できるようなものを作ることは大切にしてます。一番は、全員の力を活かしたところが映画の中に絶対いれることですかね。映画は監督一人で作ってるわけではないので皆の頑張りを入れるためなら、撮影も粘りますね(笑)。監督というのは自分の一言で、全てを決める力もあるので、一つ一つを大事にしていきたいですね。スタッフ一人違うだけでも全然作品も、撮影も変わってきますからね。

―学生「田崎恵美」はどんな学生ですか?

田崎さん:ん~(笑)。学校では本当に落ちこぼれなので、誰も見習わないでください(笑)。学校は行ってますよ。1年に1本撮っているので、撮影時は結構ボロが出ますね(笑)。でも「学生」をいいように利用してるのかな・・・。映画も安く見れますし、基本自由になんでもできます。
「学生」という身分は大いに利用してもいいんじゃないかな。


―今年、『ふたつのウーテル』でカンヌ映画祭の短編部門に日本人として45年ぶりに正式出品作品に選ばれましたがご感想は?

田崎さん:いろいろな国の監督たちが、「短編映画」という共通点を通じて集うってすごいですよね。年齢も出身もバラバラですし。英語はあまりできないので苦戦しましたけど、なんだかんだコミュニケーションとれるんですよね。また、日本の映画祭に出るのと、海外の映画祭に出るのでは全然違う。日本だと、顔なじみもできてきますしね。海外だと、短編といっても撮影方法から予算規模まで違う。すごく面白かった。

映画人の視点

―同世代の学生へ一言。

田崎さん:私の周りにも10年後がすごく気になる人とかもたくさんいるので、そういった人も含め私たちの世代で、映画業界を盛り上げていきましょう。
それと、みんながんばって卒業しましょう!! (笑)。




同世代との対談は、とても刺激になりました。映画監督、学校という二足のわらじを持つ田崎さん。淡々とお話をされながらも、熱い想いを秘めていることがひしひしと伝わってきました。自分も含め、互いに刺激しあい、影響され、新しい映画の時代を作っていけるように頑張っていこうと思いました。


また2011年11月18日(金)から東京・渋谷のユーロスペースにて『ふたつのウーテル』(田崎恵美監督作品)も含めた昨年度のユニジャパン短編映画プロジェクトの上映会『NO NAME FILMS』が開催されます。ぜひ、田崎さんの想いが詰まった作品を見てはいかがでしょうか?
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