今日、何読んだ？

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ヒカルの卵【電子書籍】[ 森沢明夫 ]​

　主人公の村田二郎は村田という苗字とかムーミンに似た姿形から、ムーサンと呼ばれている。
　彼はいわゆる限界集落に住む30代のおっさんだ。
　仕事は養鶏農家。
　限界集落と言いながら彼には集落に残った同級生やら出戻りの同級生がいて更には飲み屋まであり、どこからかやってきた陶芸家に愛想の悪い爺さん婆さんに囲まれている。
　彼は村おこしを画策する。
　そもそも彼の卵は最高の品質だ。
　それをこの集落特産の米と合わせた卵かけご飯は絶品なのである。
　彼のポリシーは前向きなこと。
　ピンチはチャンスなのだというスタンスだ。
　ただし努力はし続けなければならない。
　敗北は努力が不足していたからだという背水の陣を敷いてもいる。
　そして全て運がいいとも思っている。
　本作のムーさんの姿を見ていると、真宗の妙好人の姿を思い出してしまう。
　さてその運の良さの裏には一体何があるのか。
　実は2人の同級生の壮大なプロジェクトがあったのだ。
　これが最後なるほどなとなる。
　いつも書いているとおり様々なファクターを出した以上それをどう収めるかということが小説の究極の楽しみだ。
　おもちゃ箱からおもちゃが出れば出るほどそれをどうおもちゃ箱にもどすのかという作業が小説や映画である。
　それが美しくないのは私は好きになれない。
　今回もまた本当に面白い小説に出会った。