今日、何読んだ？

​浄土:そのうけとり方を中心に　稲城選恵​

　真宗の本を読めば読むほど真宗が難しくなる。
　それはともかく親鸞聖人の教えが時を経て生きてきたのは蓮如上人がおられたからである。
　蓮如上人の、御文章は、
​

　それを承けたのが蓮如上人の『御文章』なんです。
　『御文章』はいったいどういう論理かというと、これは非常に大事なんです。
　『御文章』は『歎異抄』のような名文でないので、ばかにする人もおります。
　しかし『御文章』を真宗から取ってしまったら、真宗は消えるといってもいいです。
　たいへん大事なものです。
　明治時代に浄土宗に福田行誡師という学者がおりました。
　真宗で一番大事なのは『御文章』である。
　真宗から『御文章』を取ってしまったら、真宗は消えてしまうだろうと言っています。
　私はそのとおりだと思います。

​というほど大事なもので、それは
​

　そこで、その『御文章』で一番大事なものは何かというと、信心をとるということなんです。
　これが抜けたら『御文章』はありません。
　親鸞聖人にも「信楽を獲得する」という言葉がありますけれども、蓮如上人ほど信心獲得ということを言われたお方はありません。
　この「信をとる」ということを終始一貫しているのが『御文章』です。
　ですから『御文章』の影響から妙好人が出てくるはずなんです。

​と信心とか信心獲得について書かれたものだということだ。
　著者が言うには御文章は第18誓願つまり王誓願に関し2者つまり我と汝を想定し、またこの信心獲得について詳細が書いてあるというのだ。
　この論理に入り込むためには我と汝の二元性について理解しなければならずまた信心を獲得するのは私ではなく仏の方からすでに信心を獲得させていただいているといういわば発想の転換をしなければならないということなのだ。
　さて悟りというのはまずもって我と汝の一元化ということでしょう。
　それをあえて二元性を語っているというのだから御文章はとても難しい論理に違いない。
　そして信心獲得の問題。
　すべては、南無阿弥陀仏、にあるという観点から進めないとますます論理がこんがらがってしまうだろう。
　そういう意味で本書は実に難しかった。