今日、何読んだ？

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爛れた闇【電子書籍】[ 飴村　行 ]

　本作の題名は
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　「でもね、それは誰の心の中にもある感情だよ」慧爾が遠くを見るような目をして言った。
　「人の体を一皮めくればグロテスクな臓物が詰まっているように、人の心だって一皮めくればグロテスクな感情が詰まっているんだ。後はそれを晒せるか晒せないかの違いしかなくて、君のお母さんは晒せる人だったってだけさ。 人間の心の奥底にはね、必ず爛れた闇が潜んでいるんだよ。どんな偉い人だって、どんな立派な人だって例外なく潜んでいるんだ。僕も、そして君もね」

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というところに由来する。​
　そして飴村節が全編に炸裂するのだ。
　飴村ファンには願ってもない面白い小説である。
　ただし粘膜シリーズとは異なる。
　それでも戦時下で南方の奇妙な生物とか男女の情愛など決してブレない飴村ワールドを味わうことができる仕組みになっているのだが、この世界を理解するには読み手は少々難儀するのだ。
　舞台の変化が激しく夢と現実の境目が判然としない。
　唯一憲兵と脱走兵のシーンをきちんと読みこなせれば本作のからくりがようやく理解できるようになる。
　そしてその記述は本編の核であるという主張をしているように一番長い章でもある。
　この章だけでも本作が理解できる仕組みになっている。