今日、何読んだ？

​​江戸川乱歩全集推理小説傑作選から​​

　まあしかしそれにしてもこの全集にははっきり言って乱歩の全てが封じ込められている気がする。
　本全集を丁寧に読んでいけば江戸川乱歩の型が少し見えてくる気がする。
　さて本作であるか題名の通り空中にヒーローのすみかがある。
　古典的なトリックであるなりすましもあるけれど、空中に拠点をつくるなどという考えは19世紀の方から21世紀を見た風景なのかもしれない。
　乱歩が書いた時代の特徴なのだろうが、死体とか血などが続々と出てくるわけで当時の読み手はきっとそういうのを欲していたんだろうなという時代背景も窺える。
　本作は星野龍子と言う女性記者がヒロインだ。
　男装の麗人である。
　今でこそ男装の麗人などというものを誇張するようなことはないのだけれど、当時はその一般的な基準を逸した形の一つとして存在していたのだ。
　その彼女がある一定の推理を下し犯人を特定するに至るのだが実は真犯人は他にいたのだ。
　そして乱歩は7人もの人が殺された殺人事件の3人殺人犯と4人殺人犯に分けて論ずるわけだ。
　探偵小説の型とでも言うのであろうか、探偵はある一室に犯人をも含めたメンバーを呼び寄せ自分の推理を披露する。
　そしてその一座にいたものを指さしあなたが犯人ですと告げるわけだ。
　そこには警察官も同席し犯人の逮捕に至る。
　そこに乱歩はさらに一工夫をする。
　そこには死体が2体…
　さて、もう一人の犯人は？