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今日、何読んだ?

2021.09.16
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カテゴリ:小説

死の刻 (文芸社文庫) [ 麻野涼 ]

 読了後の至福感が半端ない。
 小説とはこうあるべきだろう。
 冒頭かなり色気のある場面が出てきて今後話がどのように振れて行くのかその方向性さえ推察できなかった。
 しかしそれは高校生の中国における修学旅行の列車事故をもとにして、その生存者である高校生たちがその高校の不正をインターネットを通じて白日にさらすという広大な構想のもとに書かれたものだったのだ。
 たしか同じような事故が実際に発生していたと思う。
 その取材力は凄まじい。
 しかしながら残念なのは警察に対する取材力の浅さだ。
 そもそも警察署に部はないし刑事一課の警部となれば刑事一課長だし、それが制服を着てパトカーの赤色灯を鳴らしサイレンを鳴らしまくって横浜市内を走りまくり捜査をするなどということはまずありえない。
 しかも爆破物絡みの捜査本部事件の捜査本部長は大概本部刑事部長であり、所轄警察署長がその任に当たることはないのだ。
 この辺の警察に対する取材力の甘さが悔やまれてならない秀逸作であるが、警察小説を標榜するのなら少なくとも警察の組織には詳しくあるべきだ。
 爆発物の準備の仕方やら闇に紛れての準備など作者は実は極左出身ではなかろうかと思えるほど、その記述は詳細にわたりその点では実にリアリティかあった。
 人間関係の複雑さも作者の文章力のせいかとてもわかりやすい。
 警備保障会社の回線を利用しての構内の把握などというのはとても面白い方法だ。
 世界各国のプロバイダーを利用するというのも実に今風だ。
 このような方法は現実に利用できるのではなかろうか。
 読了後私の脳内はスパークしまくりだ。
 本当に良い小説を読ませてもらった。
 私は読書を単なる暇つぶしにはしたくないのだから…。






最終更新日  2021.09.16 05:00:07
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