警察庁長官を撃った男
警察庁長官を撃った男(新潮文庫)【電子書籍】[ 鹿島圭介 ] ようするに本件真犯人は中村泰だったということ。 K元巡査長にはあらず。 Kは所轄の公安にもいたことがあるらしい。 本件犯行時どうやらKはオウム真理教からイニシエーションの儀式を受けていたかして,記憶が曖昧,それでも警視庁公安部は彼を真犯人にしてfineを狙ったということなのだろう。 まずもって本書には,驚愕,の二文字しか浮かばない。 もっともこういう大事なことを吾々国民に報道できないメディアも腐っている。 だから私なんざあ,この本を読むまでは,Kが犯人なんだろう,途中から出てきた中村泰なんざあ,あーた,犯人の当て馬なんだろう,なんて思っていたわけだ。 しかしそもそも本件の根は深く,ジ(刑事部)vs.ハム(公安部)なんだそうで,詰まるところ本書は警察庁幹部の保身の物語だったとしているわけだ。 それはともかく本書における国松孝次長官暗殺未遂事件は,昨年7月の安倍元総理暗殺事件とつながるんじゃあるまいなと思っているのは私くらいなのだろうか。 なんたら義勇軍,やることをきちんとやらないと,国が大変なことになるぞという警告のための暗殺。 それは国松孝次氏が類稀な生命力があったことから,安倍さんのように即死しなかっただけのこと,やはり警察庁長官暗殺未遂事件は政治臭満々の事件だったのだ。 元警察官のKなんざあ、ピエロに過ぎなかったということ。 さて本件は警察側からすると,ジvs.ハム,それにハム方の保身があったといこと。 それにしても捜査が政治的になるとこんなトンチンカンになるんだね。 たしかに本書のような読みが真実に近いのだろうが,ハム方はあくまで本件はオウムの犯行と言い張るだろうし,ジ方は真犯人は中村泰と言い続けることだろう。 ただ,真相がこんな形でしか語られなかったことが,メディア,マスコミ,報道陣,ペンの力の力不足としか思えないのが残念でならない。 安倍さん暗殺事件の真相は,本書のような形で語られることがあるのだろうか。 真実が闇に葬られるのが保身のためということだけは許されないことだ。