警視庁心理捜査官
警視庁心理捜査官上【電子書籍】[ 黒崎視音 ]警視庁心理捜査官下【電子書籍】[ 黒崎視音 ] とっても気に入らない警察小説だった。 ただ下巻の奥書前に参考文献が羅列してありこれらの警察資料を元に本作を紡いだことはよく分かったが,結局おそらく取材先は警視庁当たりの公安警察官なのかどうかわからないけれど, はっきり言ってリアルに乏しい警察小説になった。 作者は性別さえ明らかにしていない。 そうなんだけれども書きっぷりからどうやら男性じゃないのかなと思えた。 それはともかく結局文献からだけでは警察の真相は分からなくて例えば無線のやり取り,警視庁より各局などとは絶対言わない 。 多分警視庁本部,から,〇〇(署)になると思うし,よりはからであるから警察署の名前を呼ぶわけであって結局この作者は警察小説を書きたいがばかりに警察の文献をあさったものの本当の警察のことがわからなかったのではないのかなと思った。 つまり取材力不足だ。 上巻は能書きだらけなんだけれども, 結局その能書きがあまりにもうざくてもう本当に3度はこの本を読むのやめようと思ったほどだ。 実況検分の検分は見分, 主席管理官の主席は首席,後で任意提出をお渡ししますので などということはなく,警察官が技官なわけもない。 この辺は本当に最悪の警察ドラマ京都府警の榊マリコが主人公の科捜研の女以下。 ひどいもんだ。 本作における心理特別捜査官は,警察官であってはならない。 なぜなら警察官は捜査官なのだから。 捜査のの一方が強くなることは許されない。 第1次捜査機関である警察は証拠収集し事案の真相を明らかにすることが使命なのであって,そのことを例えばプロファイリングするような心理捜査官と呼べるようなものが警察官であってはならないのだ。 公平に欠ける。 逮捕術, 射撃などの教練?これは術科と言うもんです。 爽子の同期生たちには交通機動隊の白バイ婦人小隊や通称 カラーガードと呼ばれる鼓笛隊専任を志望するものなど様々だったが爽子は留置係を希望していた。 そして偶然警視庁で数少ない女性留置場を持つ第三方面碑文谷署か爽子の配置を希望した。 爽子は希望通り警務課女性留置係に入って配属されたなどという記載はありえない。 が読んだ文献にしっかり書いてあったはずだ。 次,ありがとうと女性は呟いた,そして3日目から立会いを爽子にすることを条件に聴取に応じその結果国選弁護人の助言に対し自分が薬物の影響がない状態だ, 犯行に及んだこと,また撮影があったことさえ自供したというのはダメ。 捜留分離に違反している。 刑事課保安係などというものはない 。 昔から生安の保安係であり,刑事課で保安係で売春,拳銃の摘発取締り, 薬物捜査など様々なジャンルを扱うことはなく平成16年に拳銃と薬物は 刑事部に移った。 とにかく警察官が司法警察員としての職務権限を剥奪されるなどということは考えられない。 減給処分されたものが,経歴に傷がつかないようにご配慮くださいなどとばかくさい話もない。 そして極めつきは逮捕状は司法警察員なら誰でも請求できる,通常は幹部である警部が請求するではなくて ,これは指定司法警察員たる警部が通常逮捕状を請求するものである。 そして被疑者が任意同行のうち自供すれば逮捕状は必要なくなるなどということをなぜ書いているのか。 こうなるとこの作者はただただ文献からのみの取材によったんだなと考えざるを得ず,その結果数多の推理小説評論家をしてリアルを感じ刺さることができず,その結果賞受賞がなかったと考える。 それからニューナンブM 64 ,シリンダーと呼ばれる回転弾倉にに初弾が装填されていないことなどと言ってもありえん話でニューナンブは5発しか入らないのですよ。 そして人権上の配慮から夜明けから日没までしか認められていないなどというバカな話があるわけがないじゃないか。 それじゃあ悪人が跋扈するだけじゃないか。 ということで 本当にもう私はこの作者の本はもう読む気がしない。 何よりこの作者の作品が何の賞も受けていないということがその証左である。 こんなばかばかしい小説をよく最後まで読んだものだと自分で自分を褒めてあげたい。(6/11記)