では靖國で会いましょう
では靖國で会いましょう 橋本英明 靖國神社に行くと涙がとめどなく出る。 それはとても不思議な現象だ。 今、そのことを思ってもやはり涙が出て止まらない。 一体あの戦争は何だったのかと考えさせられる。 それはともかく靖國神社そのものが政治、思想、国際事情に翻弄されているのがとても悲しい。 靖國神社に祀られている英霊の遺族の方々の考えも様々なのだと、本書を読んで私は思った。 結局私達凡人は何事も簡単に割ってしまって甲乙をつけようとしてしまう。 靖國に関しては、A級戦犯を合祀すべきか否かだ。 著者は、自分の父親が祀られている靖國にA級戦犯は必要ないとする。 それが、前の宮司によって祀られることになり、ことが複雑化して、国際的な問題となり、さらに天皇が参拝できないような状況になったと著者は理解しているようだ。 靖國の問題はこのように実に複雑なのである。 軽々しい論評は避けたい。 ただ冒頭に書いたように靖國に行くと涙が出るのは確かだ。 あそこには英霊がおられる。 それを感じるのは私だけなのだろうか。 そんなこんなを考えているうちまた今年も終戦の日を迎える。 76年だ。 つまり、あの戦争を経験した人がだんだんだんだん少なくなっていくということなのだ。 前の天皇は戦争を経験しているが、今の天皇は経験していない。 そういう時代になってきた。 戦争を知らない世代が多くなった今、そういう戦争を知らない世代の多くの人々から靖國を詣でてもらい、英霊に心を向けて不戦の誓いを立ててもらいたいものだ。