定年後
定年後 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書) [ 楠木新 ] 果たしてこの本は読むに値するものだったのかと読後反省している。 著者は一体何を書きたかったのだろうか。 結局本書を読んで, 気に入ったというか気になったところは, 定年退職後の職を見事に選んで, それをやりきっている人の話だった。 定年退職制度に関しては 様々 変化してきていて, 現在は 65歳定年に移行中, 60歳で 一旦退職金を受け取り,その後の5年間は役職を離れて普通の勤務員として, さらにはそれまでの給料の約2/3ぐらいで勤め続けるというものらしい。 その点私なんざあ, 定年退職を60歳で迎え,1年間再任用という形で全く同じ ポストについて, その時の手取りは約 2/3程度だったろうか,その後非常勤嘱託とか会計年度任用職員などの名前で1年契約の 仕事をしている。 この制度は65歳までのつなぎ, つまり 60歳から ある程度の年金が支給されている人にとって,その不足分を 補うような形になっていた。 65歳を過ぎても, その職に私は ありついており, 結局最盛期の手取りの 3分の1 以下 で なんとか食いつないでいる。 本書に, 重い夫婦, 軽い夫婦,という 記載があった。 これは夫婦でクルーズに参加した 人たちを 観察した結果, 著者は夫婦で色々な話をしている方を軽い夫婦と呼び, 夫婦で何の話もしないばかりか奥さんが夫を顧みず親しい女性とそっちこっち を 歩いているような 形の夫婦, これを重い 夫婦と呼んだ ようだ。 定年退職後はこのように 夫婦間のあり方 もまた 問題になるところだ。 私は定年退職後もう6年も経ってしまったんだなあと, 今更ながら感慨にふけっているところだ。 この本はその6年前に上梓された本で, 実は定年退職前に読むべき本 だったのだろうけれども,今書いたようにまさに私が定年退職の時に上梓されたものだから私の目につくことはなかったのだ 。 定年退職後の人生について, 森村誠一は, 誉生と余生があると述べたそうだ。 誉生はできる限りのことをすることであり, 好きなことを精一杯すること, 一方余生は何もしないということらしい。 それで森村は誉生を良しとしたのだが, 著者は余生をよしとするというようなことも書いてあった。 いずれにしろ定年後のことについて本書が役立つことは何もないということだけは確かだ。( 6月3日記)