落語家の可能性・その2
コンサートの出演者は橘家文左衛門さん、入船亭扇辰さん、鈴々舎わか馬さんの3人だけ。だからといって「落語会」ではありませんでした。
会場であり、主催者である文鳥舎(三鷹)のwebサイトには
「文鳥舎MUSIC LIVE?【三K辰文舎】~歌って!唄って!忘年会!~
と書かれていました。
先日(11/22)、池袋演芸場の「文左衛門大会」を聴きに行ったとき、文左衛門師匠が高座で「扇辰、わか馬の3人でユニットを結成した」「今度、三鷹でコンサートをやりますから・・」と言っていたのを聴いて、行く気になったのです。
最初から最後まで全15曲を3人の演奏と熱唱のコンサートでした。
落語はまったく有りませんでしたが、落語家さんなのですから、当然、「トーク」は楽しいものでした。
実は、飯能では、来年から<有望若手応援寄席>の他に、中堅噺家の落語会を新たにスタートさせ、さらには<有望若手応援寄席>もメンバーの総入れ替えを決めています。
そこで、この日(12/26)は、その出演を打診する噺家さんとして、文左衛門師匠、扇辰師匠、わか馬さんを考えていたのです。
つまり、その「3人ユニットのコンサート」に行けば、一度に出演交渉ができると思い、ただ、そのことだけのために三鷹の会場まで「とりあえずコンサートも聴いてみようか」という程度の気持ちだったのです。コンサートが始まる前までは・・・・・!
ところが1曲目の橘家文左衛門さんの歌を聴いてビックリ!
とにかく「上手い!」のです。さらに「声がいい」のです。
しかも、その「上手さ+声の良さ」は、扇辰さんも、わか馬さんも、同じなのです。
もちろん、落語家さんの中には、市馬師匠や菊之丞さんのように「歌が上手い」という評判の人は何人もいるでしょう。
歌は練習しさえすれば、ある程度は上手くなれるかもしれませんが、「声の良さ」は天性のものです。とても落語家さんの余技とは思えないほどの「良さ」なのです。
全15曲。すべて3人のオリジナル曲ではありませんでしたが、とにかく、その「選曲」もいいのです。
全15曲の中で、59才の私が知っている曲は4曲しかありませんでしたが、その4曲とも私の好きな歌だったのです。
他の11曲も「私にとっては初めて聴く曲」なのに、「好きになった歌」ばかりなのです。
もちろん、すべて日本語の歌です。
英語の歌は、アンコールの時に歌ったビートルズの1曲だけでした。
つまり、最近のヒットチャート曲のように「日本語なのに意味が分からない歌詞」ではなく「初めてなのに理解できる判りやすい歌詞」の歌だけをきっちり選曲して構成しているのです。
コンサート終了後の「忘年会」で、「オリジナル曲は無いの?」と訊ねてみましたが、まだ1曲も無いとのことでした。
しかし、扇辰さんはピアノも弾けたので、もしオリジナル曲を作曲して、それに女将さんの創った詞がついたりしたら、かなり面白いことになるのではないでしょうか?
そんなわけで3人ユニットの今後がとても楽しみになりました。
<追記>
飯能での落語会への出演は3人とも快く承諾してくれました。出演日などは近日中に公表します。