「地域寄席は儲けていいのか?」それとも「儲けてはいけないのか?」
1年ほど前からようやく<有望若手応援寄席>は、ほぼ毎回黒字になるようになりました。もちろんその内訳は下記のようなものです。 噺家さんへの出演料 + 会場費 ≦ 当日の売り上げポスターやチラシの制作費、印刷代、それらの配布や掲示の手間、備品代(提灯・幟旗・座布団・毛氈など)は含んでいません。スタートさせた当初は「最初から黒字になる」という甘い予想を立てていたのですが、現実には「黒字になる」まで7年(通算で80回以上)もかかってしまいました。その最大の原因は「定期券制や回数券制によって入場料を大幅に下げた」ことでしょう。しかし、私は「地域寄席」の課題の一つは「赤字が続くことは避けたいがそれでもできるだけ低料金で開催する」ことだと思っています。例えば、毎回達成したい1回の入場料総計が10万円だとしたら「2000円で50人の入場者」よりも「1000円にして100人入場してくれる」ほうが地域イベントとしては嬉しいのです。もちろん可能であれば「500円にして200人入場してくれる」ようになることを望んでいます。最高で50万円まで膨らんだ累積赤字も、現時点での予測では一掃できる日はそんなに遠くないでしょう。黒字が溜まって、いわゆる「儲かる」ようになったら、どうするか?この件に関しては、有望若手応援寄席をスタートさせる時に、世話人同士で方針を決めていました。 1.噺家さんの出演料を上げる 2.出演者を増やす(弟子を取ったら連れてきてもらう) 3.真打昇進や襲名披露や寿の時にお祝いを奮発する 4.着物を贈呈する(地域には呉服屋さんがありますので)しかし、このような「心積もり」は、世話人の「胸の中」に秘めているだけですから誰も知りません。(出演してくれる噺家さんには話しています)こんなことはお客さんは知りませんから、「大勢の入場者」を見て「ずいぶん儲かってるだろうなぁ」と思う人もいるでしょう。<有望若手応援寄席>に限らず、地域寄席ではお客さんの中に、冗談で世話人に対して「儲かるでしょう!?」と言う人が必ずいるものですが、その言葉を言われる度に「カチン!!」とくる世話人は多いでしょう。「地域寄席で儲けていいのか?いけないのか?」という問題は、地域寄席では永遠に続く「悩み」ではないでしょうか。