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カテゴリ:事件
灯油をかぶってライターで火を付けて自殺しようとした人に、着替えもしていず灯油をかぶったままの状況で、たばことライターを差し出した人が居る。それも警察官が、警察署の中で。こんなドリフのコントのようなことが実際に行われ、人命が失われるとは思わなかった。最初にこのニュースを見たとき、「医療なら完全に業務上過失致死だな」と思った。
以下は http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080511k0000e040016000c.html からの引用。元記事には図面もあり、たばこはテーブルの上にあって、取調官の誰からも見えていたようだ。 全身やけど:灯油かぶった男、取調室でたばこ引火し死亡 もちろん明らかな失態であり、故意に相当するほどの重大な過失かと言えば、その通りだと思う。いかに警察内部のこととはいえ、昨今の国民の処罰感情の高まりを考えれば、業務上過失致死を問わないわけにはいかないだろう。いつも業務上過失致死に問われることを恐れながら仕事をしている医師であれば、処罰感情は国民の平均より高いかも知れない。 でも、以前書いたWHOのガイドライン“Draft guidelines for adverse event reporting and learning systems”を思い出してみよう。 Systems-oriented. Recommendations should focus on changes in systems, processes or products, rather than being targeted at individual performance. This is a cardinal principle of safety that must be reinforced by the nature of recommendations that come from any reporting system. It is based on the concept that even an apparently egregious individual error results from systems defects, and will recur with another person at another time if those systems defects are not remedied. どんな馬鹿なことでも、起きた以上は原因があるのだ。今回の事件も、報道に依れば、関わった署員は最低5人はいる。うち二人はタバコとライターを渡した張本人で、残りの3人も目の前にあるタバコに疑問を持たなかった。このようなことをする「馬鹿」が滅多にいないのであれば、5人集まる確率はほとんど無いだろう。おそらくは、何らかの条件がそろえば、ついやりがちなミスなのだと思う。重要なのは刑事罰を与えることではなく、原因究明と再発防止だ。それは医療だけではなく、すべての過失事例に共通のものだと思う。 取調室での焼死、署員らを捜査へ 業過致死容疑 起訴まで行くのかどうかは分からないが、これでは個人のミスで終わって、認知心理学的な面からの調査や、システムの検証などはおざなりになりそうな気がする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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