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医療報道を斬る

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2008.06.01
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カテゴリ:医療
 もう何度も同じ事を書いていて、いい加減イヤになっているのだが、それでも同じ事が何度も起きるので書かずにはいられない。

 世の中には残念ながら死に至る病気がある。医療の介入によって助かることはもちろんあるが、助からないこともあるのは常識ではないのだろうか。また、現状では施設間格差や地域格差も受忍すべきだろうし、発症の季節や曜日や時間帯でも運・不運はある。

 助からなかった場合の遺族の無念さは理解できるが、その遺族が訴訟を起こした場合、結論も出ていないのに遺族側の一方的な言い分を報道するだけの価値があるのだろうか。

 医療訴訟を報道するのであれば、実際にミスがあったのかどうか取材することは必須であろう。急性妊娠脂肪肝についての事例であれば、急性妊娠脂肪肝がどのような疾患で、どの程度の頻度で発症するのか、今までの救命率はどれくらいか位は明らかにすべきだ。また、原告が主張するような医療体制を可能にするためのコストも調べる必要があるだろう。そもそも原理的に可能なのかも含めて。

損賠訴訟:妊婦、胎児死亡で遺族が提訴 医院・市など相手に /静岡
記事:毎日新聞社 【2008年5月30日】
損賠訴訟:妊婦、胎児死亡で遺族が提訴 沼津市など相手に /静岡

 妊娠中に肝機能障害を起こした下田市内の女性(当時31歳)と胎児が死亡したのは、適切な経過観察をせず処置が遅れたことなどが原因として、女性の両親が29日までに、同市の医院と沼津市立病院を管理する沼津市を相手取り、計約1億300万円の損害賠償を求める訴訟を地裁沼津支部に起こした。

 訴状によると、女性は05年12月19日に妊娠の定期検査で高血圧と足のむくみが見つかり、下田市内の医院に入院。同25日に肝臓の検査値が基準の約15倍と分かり、沼津市立病院に緊急搬送され手術を受けたが、同日に胎児とともに死亡した。

 原告側は、下田市内の医院は肝臓の異常に気付くのが遅れ、沼津市立病院は手術までに約2時間かかったと指摘。女性は迅速な処置が必要な急性妊娠脂肪肝だったのに、処置の遅れが死亡につながったと主張している。

 沼津市立病院は「訴状をよく見て対応を検討したい」とし、医院は「精いっぱいやったが、亡くなってしまったことは残念」と話している。【山田毅】


 急性妊娠脂肪肝とはどのような病気か、メルクマニュアル家庭版 から引用する。

妊娠中の脂肪肝: 妊娠末期に起こるまれな病気で急性妊娠性脂肪肝ともいい、その原因は不明です。吐き気、嘔吐、腹部の不快感、黄疸(おうだん)などの症状がみられます。急速に悪化して肝不全を起こすことがあります。肝機能検査の結果に基づいて診断され、診断の確定に肝生検が必要となる場合もあります。脂肪肝が発見された場合は、ただちに妊娠の継続を断念するよう勧められることがあります。妊娠中の脂肪肝は母子ともに死亡するリスクが高い病気ですが、生き延びた場合は完治します。通常は、次回の妊娠で脂肪肝が再発することはありません。


 要するに希で、原因が分からず、致命的な疾患であることが分かる。確定診断のためには肝生検という侵襲的な検査が必要になることもあるようだが、肝生検自体、肝不全時は時に死に至ることもある危険な検査だ。

 亡くなったことは誠にお気の毒だが、やはり医療機関を責めるのは酷な症例だと思う。医療関係者には、もっと詳しい情報の載っている天漢日乗氏のブログをお勧めする。





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Last updated  2008.06.01 06:43:40
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