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2010.06.24
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カテゴリ:医療
 当たり前のことですが、解剖は亡くなってからでないと出来ません。医療が適切であったかどうか、解剖所見を元に論ずるのは後出しジャンケンのそしりを免れないでしょう。もちろん今後に生かすためのカンファランスで論ずるのは問題ありませんが、診断や治療を批判するのであれば、生前のデータを用いるべきです。

 また、法医学者は臨床医ではなく、いわゆる基礎医学者です。アルバイトで診療を行うことはあるかも知れませんが、基本的には、診療技術はプロではありません。法医学者は解剖所見だけを提示し、診療内容の可否の判断は臨床医に任せるべきでしょう。

「治療適切なら救命も」 殺人事件で解剖医証言
10/06/23記事:共同通信社

 同居の男性を刺殺したとして殺人罪に問われ一審で懲役9年とされた無職出口志津子(でぐち・しづこ)被告(40)の控訴審公判が22日、札幌高裁(小川育央(おがわ・いくおう)裁判長)であり、司法解剖を担当した医師が、搬送先の病院が適切な治療をしていれば「助かった可能性があった」と証言した。

 医師は弁護側証人として出廷した旭川医大の清水恵子(しみず・けいこ)教授。証言は、殺意や刺傷行為と死亡の因果関係を否定した被告側主張に沿った内容で、殺人罪の成否をめぐり二審の判断が注目される。

 清水教授は証人尋問で、男性の搬送先の病院が、胸部にたまった血や空気を適切に除いていれば救命可能性があったとした上で、司法解剖の鑑定書に記した同趣旨の指摘について「(検察に)一部削除を求められた」と明かした。

 また、一審判決は「首に向け包丁を振り下ろした」として殺意を認定したが清水教授は「刃の向きは水平だった」と指摘。「解剖内容を理解してもらっていたら、(判決は)違った」と述べた。

 一審旭川地裁判決によると、出口被告は昨年2月、北海道興部町で同居していた会社員渡辺明宏(わたなべ・あきひろ)さん=当時(38)=の首を包丁で刺し、出血性ショックなどで死亡させた。


 いつものことですが、記事には治療が適切であったかどうか分かるような情報はほとんどありません。でも、記事から推察するに、解剖所見から法医学者は緊張性血気胸で死亡したと判断したようです。それだけ報告してお終いにすれば何も問題はなかったのですが、治療の是非にまで口を出すのはやり過ぎです。

 口蹄疫に関しても、自分の守備範囲をわきまえない女性医系技官のトンデモ発言が話題になっていますが、この記事の越権行為の法医学教授も女性ですね。私自身は女性だからと言うつもりはありませんが、両方を見て、「だから女は」と言う人はいるんだろうなあ。

 男でも女でも自分の守備範囲をわきまえることは大切ですが、女性への偏見が現実にある以上、特に女性は慎重に行動して欲しいと思います。肩肘張らないと生きていけない女性専門家は、つい、守備範囲を逸脱しやすいのかも知れませんが。

 臨床医のひとりとして言わせて貰えば、現に首(頸)から大量出血していれば、まずは止血と輸血に専念するでしょう。血気胸があったとしても、そちらが後回しになるのは仕方ありません。血気胸が死因であったのが事実としても、それを適切に治療できたのかどうかはその時の状況に依ります。






Last updated  2010.06.24 05:49:19
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死因は誰が決めるのか?   エピドラ さん
受傷から死亡に至る経過が分からない中で裁判での一コマだけをピックアップする報道にあいかわらず虚しさを感じます。
 それより、少なくとも司法解剖で出された診断を採用されない(採用しないなら他の法医診断を依頼せず)で死因は検察が決めるのか?とふと思いました。
 同様に、誰しも診断に悩む事があると思いますが、このような事例で臨床医と協議して最終診断へ・・・とならないのかな、とも思いました。 (2010.06.25 05:57:34)

Re:死因は誰が決めるのか?(06/24)   Drbamboo さん
エピドラさん、コメントありがとうございます。

この事例の場合、緊張性血気胸があったことは間違いないのでしょうが、それこそが死因で、出血性ショックではないことまで解剖で分かるのでしょうか。解剖したからと行って何でも分かるわけではないのだろうと思います。

やはり推測を排した事実だけを解剖所見として提示し、救命可能であったかどうかは臨床医の意見を聞くべきだと思います。実際には臨床をほとんどしない「教授様」の声が大きかったりするのが悩みの種ですが。 (2010.06.25 17:59:23)

鑑定書の削除   wadja さん
記事を読むと、検察の削除要請に対し訴追姿勢の在り方に疑問を感じます。事実を伏せてでも、より重い殺人罪の適用を確実にしようとする意図とも取れます。

しかし記事のタイトルだけみると、まるで医療過誤を批判する記事のように見えますね。そのあたりに問題ありそうですね。被告の罪状は傷害で、治療にあたった病院は過失致死で有罪なのかな? (2010.06.27 12:42:39)

Re:鑑定書の削除(06/24)   Drbamboo さん
wadjaさん、コメントありがとうございます。

検察が事実を伏せようとしたのか、事実以外の推定を排除しようとしたのか、記事だけからでは私には分かりません。検察には、より重い罪で有罪にしたいという動機は確かにあるでしょうから、不当な介入であった可能性はあるだろうと思います。それでも臨床医の端くれとしては、法医学者が安易に臨床に口を出さないでくれと思います。

刺した犯人は傷害罪で、殺したのは医師だと言われるようなら、もう被害者の治療は出来ませんね。でも、この記事を読んだら、そんな風に思う人は多そうです。

(2010.06.28 02:27:12)

アホかという気がします   お前に云えない さん
刃の向きが多少ちがっていても、包丁で人を突き刺すことに殺意以外の何があるんだと言いたいですね。
こんなことで治療に当たった医師が訴えられでもしたらとんでもないことです。 (2010.07.01 23:41:24)

Re:アホかという気がします(06/24)   Drbamboo さん
お前に云えないさん、コメントありがとうございます。

いつも感じることなのですが、犯罪であれ事故であれ、生命の危機をもたらした人と医師が同列に語られることの不合理はどうにかならないものかと思います。
(2010.07.02 01:35:59)

Re:越権行為じゃない?(06/24)   dho さん
法医学の観点から客観的事実を述べることは間違っていませんし、それが医療現場の治療ミスにつながるのであれば指摘するのがあたりまえ。
それを「越権行為」とか言っちゃうほうがおかしいですよ。

だいたい「越権行為」って何? 裁判で意見を陳述する権利は万人に対して与えられていますよ。逆に客観的事実と異なることを裁判で発言したり、隠匿したりする方が罪なんですけど。 (2021.10.18 22:13:29)


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