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2011.02.25
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カテゴリ:医療
 口蓋扁桃の摘出術で怖いのは術後の出血です。手術中の止血法は、電気メスで凝固するか糸で縛る結紮ですが、出血が止まったと思っても、まれには後に出血することもあります。特に結紮の場合、口腔内の操作ではしっかりと縛ったつもりでも、狭さ故の制約からゆるいこともあるでしょう。よほど下手な手術をしたのでないかぎり、術後出血そのもので、術者の責任を問うのは厳しすぎると思います。

 そのような点を勘案したかのような判決と思われる記事があります。問題は、過失を別なところに求めたことが妥当かどうかですね。

損賠訴訟:労災病院過失に賠償命令 術後脳障害、呉の女性側に8660万円 /広島

 中国労災病院(呉市)で、へんとう摘出手術を受けた後に大量出血で窒息し、重い脳障害が残ったとして、呉市の女性(61)と家族らが、独立行政法人・労働者健康福祉機構に約1億900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、広島地裁であった。野々上友之裁判長は、病院側の過失を認め、約8660万円を支払うよう機構に命じた。

 判決によると、女性は07年2月、へんとう肥大と睡眠時無呼吸症候群の治療のため、へんとう摘出手術を受けた直後に大量出血を起こした。担当医は女性に全身麻酔薬と筋弛緩(しかん)薬を投入し、再挿管による呼吸の確保を図ったが、出血で視野が得られず断念。窒息による低酸素脳症を起こし、障害が残った。

 判決で野々上裁判長は「全身麻酔を導入すれば患者の嚥下(えんげ)機能が消失し、気道閉塞(へいそく)の危険を高めることが容易に想像できる」と指摘。「自発呼吸を温存し意識がある状態で、麻酔導入を試みるべきだった」と過失を認めた。

 同病院は「コメントは差し控えたい」としている。【中里顕】

毎日新聞 2011年2月24日 地方版


 この記事では担当医となっているので、おそらくは耳鼻科医と思われますが、少なくとも私の知っている耳鼻科医で、意識下挿管を難なくこなす者は居ません。まして、大量に出血している状況では無理でしょう。

 例え麻酔科医だとしても、麻酔下で挿管できない症例に意識下で挿管することは困難だと思います。意識下挿管の良いところは、挿管できなくとも自発呼吸があるので安心と言うことですが、この症例は安心だったのでしょうか。

 「再挿管による呼吸の確保を図ったが」との記載から見ると、元々呼吸の出来ない状況を何とかしようとしたのでしょう。大出血を起こしたことが危機的状況なのであり、それに対処できないことを責めても、出来なかったものは仕方がありません。

 きっとどこかのお偉いさんが、自分では何も出来ないくせに、ちゃんとやれば対処できたはずだというような意見書を出したのでしょうね。私だったら、そんなことは言えません。





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Last updated  2011.02.25 06:05:03
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