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2022.06.24
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全399件 (399件中 1-10件目) 医療
カテゴリ:医療
私自身、死を避けられない末期の癌患者です。
一応医師の端くれだから、効果の無いインチキ医療には引っかかりません。 たとえ根治が無理でも、より長い日常生活が見込める標準医療を受けています。 でも、溺れる者はわらをもつかむと言います。 一般の人なら、治ると言ってくれる「治療者」がいれば信じたくもなるでしょう。 ですから、健康で心が弱くなっていないときに、インチキ医療について知っておくことが必要です。 私やこれから紹介する記事の事例のように、治癒の見込めない場合には、予後が変わるわけでは無いでしょう。 でも、治療によって治癒が可能な状態であれば、インチキ医療によって殺される可能性があります。 標準医療という言葉も悪いのかも知れません。 標準というと、寿司や鰻重で言えば「並」に相当しそうな気がします。 その上に、「上」や「特上」があるような誤解はあり得ます。 実際には、根拠に裏打ちされた最上の医療が標準医療となります。 実験段階の医療でもっと質の高い医療もあり得ますが、それはまだ確認されていません。 いずれ標準医療より効果があると認められれば、それが標準医療となるでしょう。 インチキ医療は効果が無いばかりで無く、たいてい高額です。 高額で無い場合でも、患者に負担がかかる場合が多いです。(怪しげな食事療法など) 多くは正しい医療情報に触れることを妨害し、標準医療から遠ざけます。 詳しくはここを参考にしてください。 インチキ医療に引っかかると、金銭を失います。 闘病生活ですでに経済的には苦しい状況なのに、さらに高額の金銭を無駄に失うことになります。 標準医療で治癒が見込める場合であれば、命も失うことになります。 インチキ医療には効果がありませんから、最後には騙されたことに気がつきます。 そのときの悔しさは、尋常では無いでしょう。 だから、「私なら治せる」などという甘言に騙されないようにしましょう。 それでも、治療法が無くなったとき、何もしないのは辛いことです。 何かしてほしくて、標準医療以外のものに頼りたくなることもあるでしょう。 そのような場合でも、説明を録音するなど、証拠を残しておくことをおすすめします。 その理由は、以下の記事を読めば分かるでしょう。 末期がんの父、娘がすがった「自然療法」 「現在の世の中でがんが必ず完治すると言ったり信じたりするのは新興宗教の教祖と信者くらい」というのは正しくありません。 この事例のように、詐欺師とそのカモを付け加えるべきです。 くれぐれもカモになりませんように。 カモになってしまっても、最後は訴訟で一矢を報いましょう。 明日、標準医療を受けてきます。 副作用、軽いと良いなあ。
2017.05.02
カテゴリ:医療
今回紹介するニュースは今のところ毎日新聞の物しか確認が取れていないので、真偽については多少の疑問を持ちつつ紹介します。
まず、一般論として、金がなくても医療は受けられます。 堂々と「金はないけど放置できそうもない症状があるから診察して」と言えば、拒否できません。 民間病院では、あれこれと理屈をこねて断るでしょうが、公的な病院なら断れません。 正当な理由のない診療拒否は医師法で禁じられています。 診療拒否に罰則はありませんが、損害賠償請求の理由にはなります。 そして、金のないことは診療拒否の正当な理由にはなりません。 また、患者が生活保護を受けると支払いが保証されるので、病院は申請に協力的です。 医療を叩く人たちの言うこととは逆に、多くの勤務医は病院の収入には無頓着です。 支払い能力がなくても、病人が来れば診察します。 治療が必要なら、もちろん、治療します。 ニュースによれば、当該病院では無料での治療の説明をしたようです。 残念ながら、この患者は無料という説明を信用せず、診療を受けずに死亡しました。 実際には、治療を受けても命は助からなかったと思います。 でも、様々な症状に対しての治療は可能だったでしょう。 化学療法による延命効果も期待できたと思います。 そして何より、食事の心配をしないで済みました。 もちろん症状が出始めた4年前に受診していたら、根治していた可能性もあります。 同じような境遇の人はこのブログを読まないでしょう。 でも、そのような人を知っている人がこのブログを読むことを期待して、もう一度言います。 金がなくても医療を受けることは可能です。 また、病院は生活保護を受けることに協力的です。 <生活保護却下>男性、生活ギリギリでがん治療受けずに死亡 追伸 本日イリノテカンの治療を受けてきました。 治療終盤に顔面蒼白との指摘を受けました。 自覚症状はなく、血圧や呼吸などのバイタルサインにも異常がなかったので、終了後帰宅しました。 自宅でも妻に顔面蒼白と言われましたが、やはり自分では特に異常を感じませんでした。 食欲も旺盛で、14時過ぎの昼食にもかかわらず、夕食もガッツリと食べました。
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2017.05.02 21:45:43
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2017.04.24
カテゴリ:医療
不治の病の終末期、もう意識もなく、生命維持のためには人工呼吸などの介入が必要となることは普通にあります。意識だけでもあれば、本人の希望を訊くことも出来ますが、いずれにせよ、一度人工呼吸を始めてしまったら、後から外すことは、少なくとも日本では不可能です。
回復の見込みがないときには人工呼吸を拒否するという意思表示をしていても、人工呼吸をしなかった医師が免責されるとは限りませんが、まあ、実際に罪に問われることはないでしょう。 死が差し迫っていても、濃厚な治療をすれば、かなりの期間生命を維持することは可能です。 でも、医療者から見ても、あまり望ましい姿には見えません。 これば、家族から見ても同様ではないかと思います。 でも、人の考えはそれぞれですから、やはり本人の希望が一番大切です。 とは言え、実際に死が差し迫ったときには意思表示できないことが多いでしょう。 ですから、前もって意思表示をしておいた方が良いのです。 延命治療を拒否するように強要するのであれば問題ですが、意思の確認に問題はありません。 意思表示の前に十分な情報を提供せよとの意見であれば理解できます。 でも、以下の記事で反対している人たちは、見当外れな被害者意識にとらわれているように見えてしまいます。 私はもちろん、すでに意思表示は済ませています。 妻がその通りにしてくれるかどうかは分かりませんが。 「延命治療諾否」冊子が物議 京都市配布に抗議も
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2017.04.24 18:05:31
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2017.02.20
カテゴリ:医療
麻酔科医が麻酔業務中に麻薬を自己使用した事例については前にも書いた。
このときは使用した麻薬がレミフェンタニルだったので、麻酔科医は死亡した。 死者にむち打つことになるが、患者の生命を預かる同じ麻酔科医として、批判させて貰った。 残念なことに今回また麻酔業務中に麻薬を自分に投与した事例が起こってしまった。 今回はフェンタニルなので死にはしないが、正常な判断は出来ない状態だろう。 そんな状態で麻酔業務をしていたとは空恐ろしい。 麻酔は異常事態が起きなければ適当にやっていても大丈夫ではある。 でも、極力異常事態に陥らないように先手を打つのはラリっていたら無理だろう。 患者に有害事象が起きていないらしいことだけが救いだ。 ネット上では早速この麻酔科医の身元探しが行われている。 医師は名前がわかれば身元探しは容易なので、簡単に突き止められてしまった。 ところが、大学のシステムに疎い人の情報が多いので、某大学の助教授とするサイトが多い。 今は助教授とはいわず、准教授という。准教授は別人だ。 この麻酔科医は少なくともしばらく前は助教(昔の助手)ではあった。 今はスタッフの中に名前は無い。 今回の事件を受けて削除したのか、以前に退職してフリーの麻酔科医になったのだろう。 一般に医療用麻薬には多幸感はあまりない。 好奇心で試したのだろうが、ただぼんやりしただけだろう。 人生のすべてをかけてまで試してみる価値は無いはずだ。 全国の麻酔科医諸君、こんな馬鹿なまねは決してしないように。 麻酔薬不法所持の医師を逮捕 手術中にも使用か 埼玉県警
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2017.02.20 18:35:29
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2017.02.02
カテゴリ:医療
仕事もしないで毎日ぼんやりと過ごしていますが、最近は読書よりテレビ三昧です。
特に、「新科捜研の女」と「相棒」の再放送は欠かさず見ています。 体調の悪かったときには読書する気も起きず、ぼんやりとテレビを見ていたのが癖になりました。 今日の「科捜研の女」の二話目の犯人役はきれいな女性でした。 誰だっけとしばらく考えましたが、川島なお美さんでした。 生前の川島なお美さんの出演番組はほとんど見なかったので、特に興味のある女優さんではありませんでした。 でも、部位こそ違え、がんで亡くなったということで、今では親しみを感じています。 彼女の場合、診断後すぐに治療を受けていれば40%ほどの確率で今でも生きていられたでしょう。 治療開始まで一年ほど時間を無駄にしたり、無意味なおまじないに頼ったことは残念でなりません。 私の場合は手術の適応にもならず、根治の可能性のない化学療法だけが頼りです。 私から見たら、手術をしてもらえる患者がうらやましくてなりません。 がんと診断され、手術を勧められてここを見ている人がいたら、迷わず手術を受けてください。 手遅れで手術をしてもらえない患者から見たら、どれだけ恵まれたことか考えてみてください。
2017.01.09
カテゴリ:医療
タイトルはちょっと大げさで、6日からは熱も下がり、今はしつこい咳と鼻水が主体です。
ただ、むかむか感は結構強く、食欲はありません。 あとは長いこと寝ているせいか、腰痛がひどいです。 それぞれ対症療法をしていますが、鼻水と咳は止まりません。 抗ヒスタミン薬の眠気と、咳止めの便秘はしっかりと出ています。 本来の作用はいまいちなのに、副作用だけしっかりと出てくるのは、まじめにやっているように見えない。 ちゃんと仕事せいよ、と言いたい気分。 第6クールに入れるのかしら。 予定では江ノ島に一泊旅行に行くはずでした。 体調から考えて楽しめそうもないのでキャンセルしました。 前日なのでキャンセル料がかかりました。 けちな私がキャンセル料を払ってまで旅行を中止するのは、実は大変なことなのです。
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2017.01.09 17:52:23
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2017.01.06
カテゴリ:医療
一昨日の夕方から38℃台の発熱がありました。
昨日がCTを撮る日だったので延期しようと思いました。 ところが、昨日目が覚めると、すっかり解熱して、体調も悪くありません。 予定通りCTを受けてきました。 夕方になると、また体調が悪くなり、食事も摂れない状況でした。 体温を測ると、39℃でした。 化学療法中の発熱は時に致命的になることもあるので、今日は受診しようと思いました。 ところがまた、朝になると平熱以下に下がり、体調も良く、食事も普通に摂れました。 と言うわけで、またもや受診しないで済ませてしまいました。 明日からは連休で、受診の機会が無いのに大丈夫だろうかとの思いはあります。 でも、今日は夕方になっても平熱以下です。 咳などの症状はありますが、食事も摂れそうです。 結局受診しないままになってしまいましたので、インフルエンザの確定診断はしませんでした。 一応ワクチンを打っているので、症状が短期間だとしてもインフルエンザだったのかも。 上述したように、化学療法中の発熱は致命的になる危険があります。 風邪だと思ったら実は肺炎だったと言うこともあります。 化学療法を受けていて発熱した方は、私の真似をしないで受診してくださいね。
2016.12.29
カテゴリ:医療
昨日でTS-1の内服が終わり、化学療法の第五クールが事実上終了しました。
今日はそのことについて書くつもりだったのですが、タイトルのような文言が新聞に載っていたので、そのことについても書き込みます。 このブログのタイトルは「医療報道を斬る」ですから、久しぶりのタイトル通りのエントリです。 2014年にこんな医療事故(2014年の項参照)がありました。 2歳の小児の頸部リンパ管腫の術後に人工呼吸による呼吸管理が行われ、その際に鎮静のために使用したプロポフォールが過量かつ長期間投与だったために死亡したとされた事故です。 この事故の民事訴訟の報道で、今朝の朝日新聞に、遺族の言葉として「麻酔薬を使うと聞いていたら手術を受けさせなかった」と言う文言が載っていました。 これは非常に誤解を招く文章です。 手術を受けるのに麻酔薬を使わない事例はほとんどありません。 もっと詳しい記事によれば、術後に(麻酔薬を必要とする)人工呼吸による呼吸管理が見込まれるのであれば手術を受けさせなかったという意味だと分かります。 朝日新聞は麻酔科医をどきっとさせるような文章を書かないでほしい。 当初はこの事故はプロポフォールの過量投与による循環抑制で死亡したと思っていましたが、m3の記事によると尿が褐色になっていたようですから、横紋筋融解症が起きていたのでしょう。 話は変わって、現在の体調の話。 シスプラチン投与後の体調不良は治まり、現在は軽い腹部の不快感があるだけです。 これもTS-1が抜けてくれば治まりそうです。 疲れやすさも快方に向かっています。 貧血があるので少しの運動で息が切れますが。 今回は皮疹が全く出なかったので嬉しいです。
2016.12.11
カテゴリ:医療
癌に限らず、重大な疾患を宣告されれば、誰でも心が揺らぎます。
そんな時、安易な道を示されれば、そちらの方に行きたくなるでしょう 麻酔がいくら発達したとは言え、手術となればいろいろとつらいことはあります。 手術と比べればわずかですが、抗がん剤にも好ましくない副作用があります。 どちらもやらないで済むならやりたくないですよね。 実は、癌放置療法を推奨している医師が居ます。 療法というのはおこがましくて、要するに、何も治療しなくて良いという主張です。 手術や抗がん剤に不安を感じている患者の中には、心を動かされる人も居るでしょう。 標準的な手術や抗がん剤といった治療を受ければ治癒が見込める患者が、そんな戯言に惑わされ、みすみす悲惨な死を迎えるのを見るのはつらいものがあります。 こんなことを書こうと思ったのは、幻冬舎が近藤氏のこんな記事を配信したからです。 一部を引用します。 では膀胱がんを放置した場合、その後はどうなるのでしょうか? 実際には増大することがほとんどで、不変や縮小は、そんなこともたまにはあるよね、というレベルです。 増大する場合にも、がんから毒がでるわけではないので、死ぬことはありません。尿がだせなくなることも、まれにありますが、手術以外の対処法で、腎不全になるのを防ぐことができます。 膀胱癌を放置した場合、とりあえず問題となるのは血尿です。 膀胱癌で亡くなった松田優作氏も、治療を受けずにハリウッドでの撮影を優先したときに悩まされたのが血尿でした。 記事のあとの方で血尿は我慢して膀胱癌を放置することを勧めていますが、血尿はわずかなら我慢でも良いかも知れませんが、ある程度多くなれば貧血になって放置してはおけませんし、膀胱内で血液が凝固すれば尿の排泄が出来なくなり、これも放置できません。 近藤氏は、実際には患者を診たことはほとんど無いのではないかと疑いたくなる発言です。 膀胱癌が進行すれば壁外浸潤や転移によって癌は全身に広がります。 近藤氏は「がんから毒がでるわけではない」と言いますが、ある意味「毒」を出しています。 癌が全身に広がった終末期には、多くは見る影もなく痩せています。 いわゆる悪液質です。 がん細胞は異化作用を促進する物質を出しています。 そのため、筋肉や脂肪組織の細胞が分解され、がん細胞の栄養になっていきます。 いわば、がん細胞は健常細胞を食い尽くすことによって患者を死に至らしめているわけです。 私は残念ながら手術適応がないほど進行した胃がん患者ですが、手術の適応があれば受けたかった。 仕方が無いので抗がん剤の投与を受けています。 抗がん剤だけでは、残念ながら治癒は見込めません。 それでも、日常生活が可能な状態を保ったままの延命効果があります。 一昔前の延命治療と言えば、いわゆるスパゲッティ症候群といったものでした。 ベッド上で多くの管につながれ、意識もほとんど無く、心臓だけが動いている。 抗がん剤による延命効果はそれとは全く違います。 無治療だったら、私は今頃旅行どころではなかったでしょう。 治療に不安を感じたとしても、安易な道に落ち込むことなく、標準治療を受けることをお勧めします。 現時点で、根拠を持って効果があると言えるのは標準治療だからです。
2016.10.01
カテゴリ:医療
胃がんと診断されたとき、私もネットでいろいろと検索して情報を集めました。
実際に癌治療を受けている人の情報は、医師である私にとっても、とても参考になりました。 でも、気をつけなければならないことがあります。 ネットの情報は玉石混淆です。 実際の体験談に混じって、架空の体験談と思われる情報もあふれています。 どれも末期の癌が治癒したという情報です。 そして、治療している施設へのリンクが貼られています。 例外はありますが、有効な治療法であれば健康保険がききます。 健康保険がきかない治療法は、大体インチキだと思って間違いありません。 溺れる者は藁をもつかむと言いますが、藁を高額で売りつける輩は残念ながら少なくありません。 できれば溺れる前(癌になる前)に「ニセ医学」に騙されないためになどの本を読むことをおすすめします。 インチキ医療にだまされると、治療費として大金を失うだけでなく、とても悔しい思いをしながら死ななくてはなりません。 人生の最後に、そんな思いをしたくありませんよね。
Last updated
2016.10.01 21:52:35
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