今日も世界の片隅で

2005/08/03(水)11:31

日本画(最終回)

文化・芸術・スポーツ(41)

(昨日の続き) くだんの日本画家の方は、二つ嘆いていた。 海外で割と名の売れている芸術家は、得てして日本国内で無名だったり、評判が芳しくなかったりする。芸術家間の「嫉妬」という言葉で片づけるのは簡単だが、それだけでもなかろう。 日本の伝統芸術はそのままでも外国で売れるのかも知れないが、より広範な支持を期待するのであれば、外国人の趣味に合わせた様式に変えないといけないのかも知れない。 伝統を純粋な形で守りたい日本国内の芸術家にとって、外国人受けする作品は外国人に迎合する「紛い物」であり、日本の伝統文化を歪んだ形で外国に紹介するものと映るだろう。 かたや、新しい要素を入れて外国で売れている芸術家に言わせれば、自分は日本文化と外国文化の融合を図って新しい芸術様式を創造しているのであって、日本文化に新風を吹き込み、これを高める真摯な試みを行っているということになるのではないか。 この種の嘆きは、今まで何度も聞いたり読んだりしている。それも、分野は絵画に限らず、芸術・工芸一般に幅広く見られるし、学問の世界でも同様の現象が見られる。詰まるところ、新旧のせめぎ合いと相互の嫉妬ということだ。 もう一つの嘆きは、日本の伝統芸術がこれだけ国外で高く評価されているのに、それを大学で教えていない、ということだった。後継者を養成する高等教育機関が少ない、という意味で言われたのだと思うが、日本画家などの需要と供給の関係を私は知らない。もし需要に比べて供給が著しく少ないのであれば、正当な嘆きだと思った。 それにしても、こうして日記に書くと余計に興味が湧いてくる。書くことの意味を味わった5日間だった。

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