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2005/08/23(火)13:47

マスコミの権威

マスメディア(10)

カナダは建国の経緯やその後の歴史もあって、日本のような中央一極型社会ではない。東京が麻痺すれば日本全体に甚大な影響を及ぼすが、オタワが麻痺してもカナダが倒れることは考えにくい。 中央が弱いということは、権威も弱いように思える。政府とか当局とかは存在するが、そこから抑圧的なものはあまり出てこないし、国民もそこにあまり権威を感じない。 権威は不思議だとつくづく思う。多くの社会で政府の権威は失墜し、親の権威も失墜している。そして、カナダのマスコミも権威を喪失しつつあるように見える。 カナダのように雑多な社会が集まる国では、指導者は国のアイデンティティーを確立し、保持することに腐心する。カナダにとっては、米国と違うことが重要だ。 それでもカナダには怒濤のように米国文化が押し寄せてきた。カナダ人曰く「米国のニュース、TV番組、雑誌、音楽からカナダを守らないといけない。」 ちょっと待て。気持ちは分かるが、できるのか。 カナダには全国放送が2局、全国紙も2紙しかない。特派員は大幅に削られて、殆どいない。外国のニュースはもっぱらAPやロイターといった外国通信社などから得ている。 米国から自立したマスコミであるためには、自前で取る情報がもう少しあって良いし、そういう努力も必要ではないか。不満だけで、行動は逆という感を免れない。カナダの国際ニュースに権威はない。 地方紙が載せるニュースは、基本的にそのコミュニティーが関心を抱くものが中心になる。だから、国際面の比重は更に小さくなる。だが、地元のニュースは自前で取材できる。地方紙の方が健全かも知れない。 ここまで打ってはたと気付いたが、全国紙だ、地方紙だの言うのは、東京に住んでいたからかも知れない。私の郷里、新潟県では新潟日報が圧倒的に読まれていて、全国紙の購読者は3分の1以下。こうなると、何が全国紙だ、ということになる。 本当に全国をカバーしているのは、NHKなどの主要TV局なのだと改めて思った。 なんだかとっても締まりがない。

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