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バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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 昨年と変わらない景色が、にぎやかな目抜き通りにはある。スペインから来た熱心な蝋燭細工店の女性は今年もいた。お店で売っているものも、2006年の新作、なぞというものは存在しない。きっと、5年、いや10年くらいはモデルチェンジもしていないようなものばかりだ。
 今年は、ホテルからやや離れたアンティークショップや雑貨屋を回る。最初に入ったアンティークショップでは、クロスのペンダントトップ二つが気になる。真鍮で中はロケット状になっており、一つはエメラルドグリーン、一つは赤に彩色されている。早速店主に頼んで、見せてもらう。なにやら小さなゴミが付着しているようだ。よく聞けば、これ、聖遺骨なのだそうで、聖人の骨のかけらなのだ。グリーンの方は聖パシフィック(まさにその名にふさわしい彩色が施されたものだ)の骨。赤の方はよく聞き取れなかったのが惜しい。店主いわく「どちらもマイナーな聖人だけどね」。不謹慎であるが、可笑しくもある。聖パシフィックの遺骨の入ったクロスが気になり、「これは何の聖人なの?」と尋ねると、「日本で言う禅さ。つまり心を鎮めたり、落ち着けたりする聖人だよ」とのこと。禅・・・とは。
ともかく面白いと思い、値段も安価なので、「両方ください」と店主に伝えると、早速ロケットを閉じて包装に取り掛かった。ところが、である。赤のクロスのほうが、閉まらない。待つ私がプレッシャーなのか、あわてて奥へと入り、取り出してきたのが万力。それでもって、力任せにつまんだり挟んだりしている。「今すぐ閉めるから待っててよ」。数分が経った。あわてた店主が布もあてずに万力を使っていたのを見ていた私は、「赤の方はいいよ」と断る。店主はがっかりしたが、やはり万力でしこたま痛めつけられたものを買うほど、買い物マニアでもなければ審美眼がないわけでもない。
店を出てふり返ると、店主は相変わらず、首をかしげたりしながら顔を真っ赤にして万力片手にクロスと格闘している。聖人の抵抗力はすさまじいのだろうか。入れ違いに、店に入ろうとしていたイタリア人の老婦人の一行は、ドアを片手に中を覗き、店主の奮闘を見て入店をやめてしまった。「ごめんよ」と私。(つづく)





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Last updated  2006/08/15 11:49:47 AM
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