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カテゴリ:音楽
『マーヴィン・ゲイ/ワッツ・ゴーイング・オン~ライフ&デス・オブ・マーヴィン・ゲイ』は、ちょっとトホホな内容でした(マーヴィンを師と仰ぐ私ですらそう思ったほど)。商品のリヴューを再アップしますと、
「マーヴィン・ゲイ関連の情報は一通りチェックしてきた。もちろん、映像関連も、ブートレグまで網羅してきたつもりだが、この作品には、それでも知らなかった貴重な映像が満載である。ただ、半ストーリー仕立てになっている本編は、マーヴィンの理解に先入観を与えかねない作りであること、インタビューに応じる面々が他の関連作品と代わり映えがしない(マーヴィンの実弟フランキーの奥さんが登場したのは驚いた)ことはやや気になる。 また、残念なのは、ライブ映像シーンが既出のもので、しかもあまり絶好調でない時期のものなのが残念だ。マーヴィン・マニアなら押さえたいところだが、そうでない人には魅力に欠けるかもしれない。」 で、星三つ。そうなんです。なんか、物足りなかったんです。ところが、同じシリーズ第二段としてリリースされた『テンプテーションズ/ゲット・レディ-ディフィニティヴ・パフォーマンス 1965-1972 』、いいじゃないですか!!もともと、センシティヴィティやアーティスティックな面はマーヴィンを師匠に、スタイリッシュな部分はテンプテーションズを師匠としてきた私(勝手にすみません)だけに、マーヴィンを押さえたらやっぱりテンプス押さえないとダメでしょう。で、何がいいかといえば、こちらは映像が素晴らしい。資料的価値も高いし、とにかくあの5人が動きまくる!! みんな若くて、細くて、キビキビしてて、もう無茶苦茶に格好いいのです。もともとテンプス、それもオリジナルメンバー時期のテンプスの映像資料は、国内はもとより、国外でも数が少なく(暫定メンバーでのライブ映像や、特番、再現ドラマなどはあります。昔は探し回って入手しましたが、今は比較的入手しやすいようです)、ここまで集まっているのは、この作品がはじめてではないでしょうか。 エディ・ケンドリクスのハイテナー、いいなぁ(かわいい顔してヘビースモーカーだったエディ、途中で若干歯が黄ばんでたりするも、私のような数寄者にはたまりません。そのあと、またた歯が白くなってて、思わず「ザクトライオン、使ったのか?」とツッコミましたけど)。スタイルもクールだなぁ。メルヴィン・フランクリンの低音、国宝級だなぁ。今更ながら、ポール・ウィリアムズの声、いいなぁ。デイヴィッド・ラフィンがいなければ、テンプスは成立しないけれど、デイヴィッドさえあんなオトコじゃなければ、間違いなく“テンプスの声”になれただろうに。自殺しなくて済んだだろうなぁ。 そのデイヴィッド・ラフィンこそが、嫌なヤツだけど、ニクいアイツなのです。もう天才。グッチ裕三さんもテンプス好きで有名ですが、「デイヴィッド・ラフィンは天才だ!!」って絶賛してました、とある番組で。 私は、目立ちたがり屋で、カリスマがあって、マーヴィン先生の心の恋人、タミー・テレルに暴力ふるって(疑惑か?)、ジャンキーで、おまけに早々にテンプスを抜けてしまう“わがままデイヴィッド”が、大嫌いで、大好きです。単純に、格好いいから。もう、鳥肌立ってしまうんです。その声、その動きだけで。指先立てただけで、うわーって。あんな針みたいな体して、どこからあのエネルギーが出てくるのか??? 歌は正直、ポール・ウィリアムズの方が上手いですよ。はるかに。声はユニークだけど、かすれていて、スムースでもない。音程も時々やばい。特に乗ってるときなんか、高いキーではがなってますよ。でも、聞き手を圧倒し、説得し魅了する何か、そう、悪魔的な何かがあるのです。 デイヴィッドは、「自分こそがテンプスであり、自分のいないテンプスはありえない」と公言し、グループ名も“デイヴィッド・ラフィン&ザ・テンプテーションズ”に改名しろ、とフロントに迫ったそうですが、その鼻持ちならない高慢さと、音楽への青臭いまでの情熱、そして周囲を虜にしてやまないカリスマは、やはり天才の名に恥じない、神様から我々へのギフトと呼べるかもしれません。 テンプスを観ていると、つくづく、彼らはCDでは本当の魅力が伝わらないなぁ、と思います。名曲“My Girl”ひとつとっても、あの5人のアクションとダンスがあって始めて、彼らの美とスタイルが立体化するのだと痛感しました。このDVDこそ、買いですよ!! あ、そうそう、肝心のリーダー、オーティス・ウィリアムズが、インタビューで自身を「スーパー・グルー(超強力接着剤)」と評していたのは、まさにその通りで、他のメンバーに比べてあまり目立たないリーダーは、しかしながら結成から現在まで、幾度もメンバーチェンジを繰り返してきたテンプスの最後の生き残り(事実、オリジナルメンバーの他の4人は皆他界しています)であり、かつリーダーであります。人の出入りが激しい名門グループを結束させてきた苦労人。看板の守護神。人にはそれぞれ役割があるものですね。見かけによらずいいヤツ、デニス・エドワーズや、“今はぽっちゃり、昔はキュート”なデイモン・ハリス、“器用なユーティリティ”リチャード・ストリートら、テンプスを出入りしたメンバーたちもちょこっと出演。(了) テンプテーションズ/ゲット・レディ-ディフィニティヴ・パフォーマンス 1965-1972 マーヴィン・ゲイ/ワッツ・ゴーイング・オン~ライフ&デス・オブ・マーヴィン・ゲイ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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