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テーマ:お勧めの本(7402)
カテゴリ:嘘評
菊池良寛著『夢の巣箱』(だうと舎)
あるいは夢に敗れ、あるいは夢を追い続け、あるいは永遠に夢物語ばかり語り続け、あるいは、夢と夢を闘わせる。高級クラブが軒を連ねる東京の一角で、一国一城の夜の主となった“マスター”の視点から、訪れるお客の“夢”にまつわるエピソードが12篇のショートストーリーで綴られる。秀逸なのは、「第12夜 放念会」。たいてい常連ばかりになる忘年会で、小さなお店に一年分の熱気を抱えたお客が繰り広げる珍騒動の数々。夢はまだ終わらないのだ。あたかも、ロンドンのパブの様相を呈する猥雑さと、破天荒な老若男女の客人が、すべてを忘れて白む都会へと帰途につく姿を見送る“マスター”の男気溢れるクールでホットな視線にもほっこりさせられる。年末にふさわしい一冊と言える。(了) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/06/16 01:40:52 AM
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