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バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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 「彼の名前はアルセーヌ・ルパン。かの名高き怪盗紳士だ。世界中の警察が彼に血眼。これがなかなかつかまらないんだなぁ~」と山田康雄が言ったかどうか、もちろん、フランス最大のヒーローであるアルセーヌ・ルパンは、控えめな作家モーリス・ルブランが、この世に血肉化してしまった“人物”である。
 この作家、ルパンの胸躍る冒険の数々を聞き書きする人物として、作中にたびたび顔を出すが、こうした虚実綯い交ぜになったプロットがバックにあってこそ、怪盗ルパンは頁から飛び出して、一人歩きすることになる。
 生前モーリス・ルブランが、「私よりもルパンの方が著名で、ルパンに私が支配されているようだ」と述懐したのも、実は相当に切羽詰まった事態を呈している。作家は他の作品で、ルパンに「私は何人もの人物を演じて来たから、今や自分自身が誰だか自身でも分からないのだ」と語らせているが、ここに作家と“生み出された有名人”の自己同一性と多重性の狭間での苦悩の共鳴が見られる。
 ルパンの冒険譚の数々は、二、三の作品を除いてはほとんど金太郎飴であって、どの作品にもルパンの魅力を見出すことが十分可能だ。ここであえて、『二つの微笑を持つ女』を紹介するのは、本編にでなく、むしろこの一冊に採録された恋文に注目しておきたいからである。
 現代仏・ミステリの重鎮、トマ・ナルスジャックの寄せたルパンへのこの熱烈な恋文は、ルブランの苦悩を超越し、多重で錯綜するパーソナリティの前向きな可能性の讃歌でもある。トマは、同じくミステリ作家であるピエール・ボワローと共作で、覆面作家としてアルセーヌ・ルパン名義の作品を発表し、ルパン生存説を実証してみせたと同時に、ルパンの実在を決定的なものにした。ナルスジャックとボワローが、ルパンのお株を奪う変装によって、「多重な自己」というツールの機能美を教えてくれる。女よ、微笑は二つ以上持たれよ。(了) 

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Last updated  2008/04/03 09:13:04 PM
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