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カテゴリ:書評
見出し:チェーザレ、戦争と策謀の芸術家の真の姿に迫る入魂の連載、単行本化。
惣領冬実『チェーザレ(3)』(講談社) もともと法哲学を学んでいた手前、マキャヴェッリから逆行して知ったチェーザレ・ボルジア。その毀誉褒貶の統治哲学は、当時はあまりに横暴に思えて、馴染むことが出来なかった。しかし、スペイン出身の教皇の子であること、家族の絆を生かし(時には、断つことも)、自身の理想実現へと立ち向かう姿は、まさに不退転の生き様。いつしか、チェーザレ・ボルジアが本当に夢見ていたことが何であったのかに興味を抱くようになっていた。 折しも、モーニングなる青年誌で連載が始まった時、すでに私はチェーザレ通になった気でいたものだが、このマイナーながらも日本では熱狂的な人気を誇る男(なぜ織田信長と対比されるのかはよく分からないが)が、どのように漫画に描かれるのか気になって、珍しく連載開始号を購入したこくがある。その後、どのような理由でか詳しくは知らぬが、一旦連載がなかったような気もするが、これだけ壮大かつ人気のあるテーマには、作者自身の綿密な下調べと、何より“覚悟”が必要だったに違いない。 現在、単行本になっているのは二巻まで。時期が時期だけに、登場人物も絢爛で、どのような人物が、どのように登場するかも見逃せない。覚悟以後の筆は勢いを得ているようである。このデリケートにして凶暴なテーマを、最後まで見事に描き切って欲しいものと、一読者として応援したい。(了) 追)三巻目にして、ついにチェーザレとマキャヴェッリの接近が展開されます。 チェーザレ(3) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/04/03 09:15:00 PM
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