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カテゴリ:書評
見出し:影絵で遊ぶ。
後藤圭著『手で遊ぶおもしろ影絵ブック』(PHP研究社) 洞窟の影に一言申すなどといえば、プラトンでも飛び出してきそうだが、これは影絵の話。影絵で遊ぶ、などということは随分と昔の記憶まで遡らねばならないが、暗闇の中で、天井だけがぼうと明るく、そこに現れた犬や鳩の姿は、時に大きくなったり、小さくなったり、吠えたりはばたいたり…と、こちら側で手を動かしているだけに過ぎないという単純さを忘れさせるだけのイマジネーションを書き立てるマジカルな魅力があった(本書に収められているレパートリーには、私の子供の頃にはなかったような複雑なものや大掛かりなものもある。恐竜!?)。 光と影。地球誕生以来、もっとも原始的な仕掛けであるこの二つの現象を用いて遊ぶ。幻燈のルーツであり、テレビや映画の元祖ともいえる影絵。一番手近にあって、簡単に出来るアニメーションともいえるだろう。 飾らない、語らない。だからこそ、このモノクロの動画には、見る者、影絵を作る者が、自由に、そして豊かにそれぞれの物語をつむぎだすことが出来るのではないか。久しぶりに、郷愁溢れる影絵を壁に映じて、幼き日の好奇心を思い出してみようか。果たして、影絵を作る手は大きくなったが、眺める眼(まなこ)にはまだ往時のイノセンスが残っているだろうか。(了) 手で遊ぶおもしろ影絵ブック ■著作です:何のために生き、死ぬの?。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/04/02 06:02:42 PM
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