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カテゴリ:映画/エンタメ
『アラトリステ』、観ました。本国スペインでは、アルトゥーロ・ペレス=レベルテの原作が、新たなクラシック・ヒーローを迎えた新時代の冒険活劇ジャンルとして人気を博しているとか。そういえば、レベルテ、自身の作品の登場人物を通じて、デュマやラファエル・サバティーニ、コナン・ドイルやモーリス・ルブランに言及していましたしね。ジョンストン・マッカレーは…お嫌いなのかな?歪曲されたスペイン系ヒーローなのかな。レベルテにとっては…。
いずれにせよ、『アラトリステ』ですよ。17世紀スペイン、最高の剣士。でも、傭兵で、裏家業でも生計立ててしまう。プライドと悲哀の葛藤だ!! そんなニュアンスなので、作品自体を観た感じでは、なんだかザラザラの詩を読んだような…。アラトリステのキャラクターも、その一途な愛も映像も、ポエジーを感じるような作りになっているのですが、翳りのほうが濃くて、すごく渋い映画になっております。ま、意図的に、チャンチャンバラバラな絢爛さを削ぎ落としたような形。陰翳の美しさ、という点では素晴らしい作品です。 ただですね、この「コトバはいらない」的なコンセプトが、結果として「コトバが足りない」というような印象に変わる瞬間も多々ありまして。その辺りのもどかしさや無骨さが、映画の随所で登場する“当時のスペインの光(熱狂的であるがゆえに思硬直してしまった、救い難いほど荘厳な光が、窓に、通りに、酒場に射すわけです)”とリンクしているとすれば、それはそれですが、ちょっと深読みし過ぎかな(苦笑)。 ヴィゴ・モーテンセン。もう、高倉健の世界だ!!背中で語る、みたいな(笑)。日本のクラシックなダンディズムですよ、彼が体現しているのは。格好いいけど、明らかに、ワタシには真似できない男くささ。『イースタン・プロミス』といい『アラトリステ』といい、このまま健さん→チャールズ・ブロンソン→ウーン、マンダムまで行ってしまうのでははないか、と。素のヴィゴ氏はお茶目だそうですが、路線は寡黙系だよなぁ。 史劇としては壮大さ一歩浅く、活劇とは程遠く。人間ドラマとしてはいぶし銀の味わいながら、アラトリステという稀有なキャラクターがもう一つ迫ってこない。シリーズ化している原作では、ドラマあり、陰謀劇あり、活劇あり、と読者の心配をうまく生めるように、バラエティを持たせてこの剣士を幅広く活躍させているそうで、そうしたバランスをこの映画にも期待した方かもなぁ、と。音楽が素晴らしいのですが、国内のサントラ流通量、少なすぎだぞ(海外もでした、調べたら…)。 特典映像で「ネイティヴでない言葉で演じるときは、ボディランゲージも変わる」と語るヴィゴ氏。ボディランゲージ過多なワタシとしては、知っているようで改めて知らされたような、ちょっとした目からウロコ。 ついでに、エドゥアルド・ノリエガのシーン、もうちょっと増やして欲しかったぞ。(了) アラトリステ(1) アラトリステ スペシャル・エディション(DVD) ◆20%OFF! ■帯津良一・帯津三敬病院名誉院長推薦、出版記念講演・青木新門『何のために生き、死ぬの?』(地湧社)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009/08/11 02:37:13 PM
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