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2012.09.12
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カテゴリ:映画
 昨日は、『星の旅人』以来本当に久しぶりに映画を見に劇場へ足を運びました。齢80を超えて益々元気な高倉健さん主演、『あなたへ』です。近年は派手にドンパチやるハリウッド製作品でも平気で寝てしまうことがある僕ですが、年齢なのか時代なのか、こういう人間ドラマのほうが眠気が覚めてググッと作品に入り込めます。

 前回の『星の旅人』もそうでしたが、この作品もいわゆるロード・ムーヴィです。移動の映画。主人公の旅に観客が付いていく楽しさがあります。こんなところも選んだ理由になるのでしょうか。富山県の富山市から長崎県の平戸市へのクルマ旅がひとつのテーマですが、こういう地味さは大好きです。意外と観客にリアルに響くところでもあります。

 必然的に道中の風光明媚な場所を映し出したり、行く先々での出会う人々が物語を肉付けしていったりするのですが、こんな脇を固める俳優陣のほとんどが主役級であることにまず驚かされます。こういうところに健さんのオーラというか存在感を感じてしまいます。

 もう一点、健さんファンなら物語が始まって間もなく気づくはず。この主人公のキャラクターは、どう考えても健さんのために作られたのであろうということです。健さんに演じてもらうために、脚本を綴っていったのだろうと。僕にとっての健さん演じるキャラクターとは、「ストイックに、まっすぐに生きる人」です。ここでも主人公を中心に、ひたむきにまっすぐに生きる人々ばかりが出てきます。旅の途上で、まるで健さんに吸い寄せられるように接してくる人々もそうです。何かの力が働いているのでは、と思わせるような物語仕立てのような気もします。

 ただ、この中に例外的に「まっすぐに生きていない人」が二人、同じように健さんに吸い寄せられてきます。しかし、これは観客にはあとになって気づく仕掛けになっており、そのときになって、「曲がった生き方をする人」も健さんの不思議な力で、まっすぐに修正させられていたんだと実感できるわけです。

 最後に、個人的には健さんと佐藤浩市のツーショットが、映画的事件だと思ってます。





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最終更新日  2012.09.15 01:26:58
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