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キーンコーンカーンコーン 本日最後の授業の終わりを告げるベルが鳴り響いた。 でも、今日はまだ帰れない。 この後、来月開催される球技大会の為のHRがあるんだ。 「それじゃあ、今日の授業はここまで」 そう言って、教室の外に出ていく古典の先生。 それと同時に、ざわめき出す教室。 「ねぇねぇ、何に出るの?」 そんな中、そう私に声を掛けて来た子。 このクラスで、一番最初に友達になった女の子。 「んー、そうねぇ…」 私はちょっと迷っていた。 今度の球技大会、公平のためか自分が所属してる部活の球技には参加出来ない事になっているからだ。 私は今、バレー部に所属している。 中学の頃からバレー部だった。 小学校の頃は…えっと、なんだったっけ…。 「決めてないなら、一緒にバスケでもやってみない?」 「バスケかぁ…」 うーん…何故か、あんまり乗り気にならないな。 卓球とかの方が気楽そう… 「ほら、何だったらバスケ部の人たちに教えて貰ったら? 格好いい人、結構居るし」 からかうようにそう言って、ポンと私の肩を叩いてきた。 クラスのバスケ部の人たちは、教室の一角に集まって話をしていた。 聞こえてくる話からすると、どうやらみんなでバレーに出場するみたいな感じだ。 私は何となく、バスケ部の人たちの方に目を向けた。 あの一番背の高い人…ちょっといいかも。 これから部活なのかな。 手には空色のタオルが握られていた。 「あ…」 あ…今、その人と目があっちゃった。 それと同時に、その彼の呟きが聞こえた様な気がした。 じっとこっちを見つめてくる彼の目。 私も…不思議と目を逸らすことが出来なかった。 しばらく目があった後、彼が私の方へと歩いてきた。 えっ…なんだろう… ゆっくりと私のもとへと歩いてきて、そして、 「なぁ」 彼が、そう口を開いた。 「え、えっと…なにかな?」 「君は…」 ガラガラ! その時、勢いよく教室のドアが開いて担任の先生が入ってきた。 「ホームルームを始めるぞ、席に着け」 先生のその一声で、ざわめき立っていた教室はシンと静まり、 みんないそいそと席に着いていった。 「じゃあ……また、後で」 彼もそう言って、自分の席に戻っていった。 また後で… そう言ったものの、彼と話したのはこれが最初で最後だった。 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/10/08 03:31:27 AM
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