大江戸温泉物語
バブル時期の1990年代、各地の温泉ホテル、旅館が絢爛豪華に改築し、料金も一泊3万円以上がほとんどで、庶民が利用するにはとても高かった。それがバブル崩壊、金融引き締めなどで、数多くの高級温泉ホテル、旅館が倒産し,金融機関は不良債権をたくさん抱えてしまった。今回宿泊した塩原温泉のホテルもその一つだ。塩原の他に鬼怒川温泉にも同様の施設を有していた、地元では有名なグループだったが、金融機関自体も倒産状態に陥り、不良債権整理により、ガレージセールよろしく二束三文で売却された。それを買い受けたのが大江戸温泉物語という奇妙な名前の会社だ。東京お台場や首都圏に温泉施設を展開している会社だ。かつては立派だった塩原のホテル、いまはその面影はほとんどない。設備は必要最低限の投資しかしないのか、客室は古く若干カビ臭い感じもする。売りは、価格。今回は一泊2食(バイキング)、お酒のみ放題。無料歌謡ショウ、落語会などを楽しみ、一人8800円税込。客はほどんど、中高齢者のグループまたはカップルである。夕食のバイキングの内容も和洋中ありそこそこ。ビール、酒、ハイボール、焼酎などのみ放題。年の割にはみなさんお皿にてんこ盛り状態。食べる食べる。こんあ内容の温泉ホテル旅館をこの会社は全国にて数箇所運営している。初期投資は少ないので、いかに人を集めお金を落としてもうか勝負。いたるところにその工夫が見えた。スタッフはフロントからショウのサポートまで、なんでもこなし、売店のスタッフはバイキングホールの接客も兼ねたり徹底した低コスト運営を実行している。フォローもしっかりしている。次回の割引券、館内施設利用の割引、会員登録の恩典など、これでもかというほどメッセージを送っている。年に2,3度利用する。理由は家内と二人で約1万6千円利用できるから。施設の古さを我慢すれば、それなりの癒しの時間を楽しめる。寿司屋に二人ででかけ酒肴、すしを頼めばすぐに1万6千円は超えてしまう。さらに自宅にて風呂を沸かせば燃費もかかる。いろいろ費用を考えると、そこそこ満足できる値段だから。歳をとれば収入も限られてくることを考えると、温泉に浸かり、飲んで食べて、上記価格は安い。多分施設の老朽化が進めば、然るべき時期に閉鎖、解体と相成るのだろうが、その間稼いでしまえということなのだろう。温泉物語同様、ゴルフの世界も同様形態がある。かつての有名ゴルフ場も経営難からホテル同様の形態になったものだ。これも周辺にたくさんある。だからゴルフも比較的安くできる。これを素直に喜んでいいのか複雑な気持ちだが、現実、年寄りたちは、往年の姿を一瞬とりもどし、老体にムチを打ちながら、肉、魚、酒をせっせと自分のテーブルに運び胃袋の中に流し込んでいる。、これも今の日本の現状の一部。そこには品位も、品格もない。その場にいる自分もそうなのだと思うとなんともやりきれない気もちになた。大江戸温泉物語でした。