|
カテゴリ:業界動向/ニュース
「消費する我々」の裏側には、それを支える「供給する者」がいる。
昔の商店から、今は世界規模で支える仕組みが出来上がっている。 その仕組みを「3点同時」で紹介したのが、昨晩のNHKスペシャル 「同時3点ドキュメント第8回」である。タイトルは「米中1万キロ・ 売れ筋商品を急送せよ」だ。 アメリカの消費動向を敏感に察知して、商品(婦人ブーツ)を発注する アメリカ大手百貨店JCペニーと、その発注に翻弄される中国の製造工場、 そしてその狭間で納期の死守に奔走する、日本の海運会社の3点を同時に 追っかけたドキュメンタリーだった。 9/18にJCペニーの商品発注会議で決定した発注は、9/19に中国広東省の 製造工場へ依頼される。内容は2日間で1,800足のブーツを製造するという もの。通常の20%増しで製造しなければ間に合わない。出来上がったものを JCペニーの検査を受けて、9/23にはトラック便で香港の港へ発送される。 積み込み作業を終えて、9/25には香港を出港しないと間に合わないという 過密スケジュールだ。過密の一つの原因は、トヨタ自動車で有名な「ジャスト インタイム」方式の導入が挙げられる。企業も生き残りを掛けている。 その中で在庫を極力持たない手法が、利益に繋がるからである。したがって 納期が恐ろしく短い。1万キロも離れた中国から、お金を掛けて緊急輸入した としても、1/10の人件費が十分なメリットを生んでいる。 それにしても驚いたのが、中国の事情。工場から香港の港まで、まっすぐで 6時間のトラック輸送が、大渋滞のために綱渡りの輸送になっている。そして トラックの軽油が、ガソリンスタンドへ行っても品切れである状況。日ハムの ヒルマン監督じゃないが、「信じられない」ほどの時間がかかっている。 ここまでのことは日本では考えられない。特にエネルギー不足は深刻で、 トラックの軽油どころか、工場の電気も、いつ停電になるか分からないという。 だから万一に備えて、自家発電装置も準備してあるという。何だか北朝鮮の話の ように感じてしまうのだが、これが急激な発展の途上にある中国の本当の姿 なのだ。北朝鮮ならこれ以上の状況ということになる。それだけ日本の恵まれた 環境に慣れきってしまったということだろう。 番組では、さらなる追加発注のために、日本の海運会社が予約した航空便が、 航空会社によってキャンセルされてしまい、別の便を必死に探す姿や、 5年先の船主との交渉、新たなコンテナーの建造計画なども散りばめられて、 消費の裏側で行なわれている格闘を、臨場感をもって紹介していた。 我々が「いいねぇ、これ」なんてやってる商品の、製造国以外の情報、つまり 様々なルートを経て、苦難を乗り越えてたどり着いたというドラマは、残念ながら 我々には知る由もない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[業界動向/ニュース] カテゴリの最新記事
むしろ、多少高くても自国で生産したほうが、いいんじゃないかな?と思えるものも沢山有りますよね。
そのほうが無駄なエネルギーつかわないし、雇用も生じるし、、、 「安い」って庶民においては「高い」よりはいいって程度のもののような気がするんだけどなぁ。。。 その程度のことのために、多くの人があまりに必死になっているのって何だか、、、不思議な気がするんです。 (2006年11月11日 22時24分48秒)
MiMi Platicoさん
>…多少高くても自国で生産したほうが、… というレベルではなく、ずっと安いようですよ。でも徐々に中国の人件費も高くなって、 いずれは世界の製造工場は、別に取って代わられることになるのでしょう。 北京オリンピック後、どうなっていくのでしょうか? (2006年11月11日 23時08分46秒) |