2015/12/30(水)22:19
母と暮らせば
吉永小百合氏と二宮和也氏が主演する映画「母と暮らせば」
の小説を読んだ。思った通りの作品だった。映画を観ると
それで終わりだが、主演の二人のイメージが明確なので、本
を読むだけで情景が目に浮かぶのだ。
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1945年8月9日、長崎に投下された原爆で、二男を亡くした
母が吉永氏。二男、浩二が二宮氏である。長崎医大の学生だ
った二男は、授業中、原爆によって一瞬のうちに消えてしま
った。
彼の遺骨も、衣服の切れ端もは何も残っていない。それゆえ、
母は死んだとは思えず、二男の恋人、町子と一緒に諦めきれ
ない日々を送っていた。
そして3年が経ち、1948年8月9日の墓参りの際、母はもはや
生きているということを諦めようと決意するのだった。それ
からである。二男が母のもとに現れた。いわく、「母さんが
諦めてくれたから出てくることが出来た。諦めが悪かね」と。
古き良き、と言っていいのだろうか。いまの日本人が失って
しまったかのように見える「あり方」が描かれている。美し
い日本の心と言ったらいいのだろうか。
ただ、エピローグのくだりは必要なのだろうか。なぜか作り
話と強調しているように思える。蛇足ではないかと、個人的
には思うのだった。