トカトントン 2.1

2004/12/28(火)21:54

はじめてのジャズ

音楽(515)

■積極的にJazzを聞き始めたのは去年くらいからのことだ。それまでも耳にはしていた、後ろに流れていた。ずいぶん前からJazz喫茶には行っていた。でも今誰の何というアルバムを聴いているのかは頭になかった。きっかけは何だったんだろうか、村上春樹の「ポートレイト・イン・ジャズ」のせいかもしれない。それぞれのアーティストに対する愛情あふれる文章が興味をかきたてたのかもしれない。ここ2,3年はコンピレーションアルバムばやりで橋本徹という人の「カフェ・アプリミディ」シリーズをたまたま聴きだし(ジャケ買い)いろんな曲を知ったせいかもしれない。 ■そんなわけでJazzのCDを今年は今までに比べよく買った。名盤紹介みたいな本も色々チェックした。中山康樹という人の「超ジャズ入門」「超ブルーノート入門」などを読んだ。この人は「ビートルズ全曲紹介」だの「ディランを聴け」だの「マイルスを聴け」だの命令が多い。この人の文章は俺の言うことを聞けば間違いないと、まるで運動部の鬼コーチみたいでいろんな意味でファンも多いそうだ。音楽を言葉にするのは難しい。ガイドなんだから作品を取り巻く状況とか歴史とかが何となくわかればいい。そういう意味では基本的な背景は前よりは頭に入った。 ■もう子供じゃないのでいくらか経済力はある。今はネットでも曲の試聴ができ、レンタルで安くCDを借りることも可能だ。自分のお気に入りのアーティストにたどり着く道のりは若い頃に比べればずっと早まっている。Jazzを聞き出して気づいたことはひとつの曲に対して様々なアーティストが様々な解釈で様々な演奏をしているということだ。「枯葉」という曲をビル・エバンスがマイルスがキースジャレットがそれぞれの方法で演奏している。それのどれもが枯葉なんだということ。そして何よりも演奏が自由だということ。そこは指揮者の指示のもと、スコアのもとで演奏されるクラシックの展開とは一番異なる所なんだろう。 ■基本的にはマイルスとブルーノートから入っている。(中山コーチの指示をしっかり守っているわけだ)マイルスの「コンプリート・ジャック・ジョンソン・セッションズ」がすごい。これはロックから入っている私には取っつきやすかった。メロディじゃないですね、自己主張の応酬に聞こえる。いわゆるこのあたりの「電化されたマイルス」の「ビッチェス・ブリュー」「イン・ア・サイレント・ウェイ」も聴いた。体調がよくないと聴けない音楽である。もうひとつの発見はブルーノート音源は現役のDJ達にずいぶんサンプリングされているのだということ。大好きなスチャダラパーの「サマージャム’95」はボビー・ハッチャーソンの「モンタラ」だった。ちょっと古いけどスティーリィー・ダンの「リキの電話番号」はホレス・シルバーの「ソング・フォー・マイ・ファーザー」だった。そんなことはちっとも知らなかったわけだ。 ■過去の宝物を見つけていく楽しみがこのジャンルにはある。今年はいわゆる新作に当たるもので買ったものはキース・ジャレット・トリオの「アウト・オブ・ターナーズ」だけである。でもこれがすごく良かった。私は宝物を探す名人なのかもしれない。(でも実際には相当な方向音痴である)

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る