トカトントン 2.1

2005/04/17(日)21:28

センチメンタル通り / はちみつぱい

音楽(515)

1.塀の上で 2.土手の向こうに 3.ぼくの倖せ 4.薬屋さん 5.釣り糸 6.ヒッチハイク 7.月夜のドライヴ 8.センチメンタル通り 9.夜は静か通り静か ■なんと綺麗な群青色なんだろう。ぐでんぐでんに酔っぱらっている若者が8人。朝まで飲んでこのジャケットを撮ったという。場所は蒲田駅から歩いて5分、西蒲田の、とある街角。冷蔵庫に寄りかかっているのはあがた森魚、足だけしか映っていないのは山本浩美。 ■73年、髪を伸ばしてロックをやるのが今ほど当たり前ではなかった時代だ。それをやるにはある種の決意が必要だったし、ギター担いで通りを歩けば、まわりから舌打ちだって聞こえてきた時代だ。 ■今日は鎮魂歌を探していた。思いっきりノスタルジックな曲を探していた。そして、このアルバムのことを思い出した。まだ羽田から飛行機でロンドンに行った時代の話だ。ヒールが7糎のブーツを履いていた時代の話だ。 ■若者たちは音楽を職業に選んだ。見たもの感じたものを、詞に書き、曲を作り、自分たちで歌うことによって、生活の手段とする決心をした。それぞれの「生活の柄」は異なるがあれから30年、若者はみんなおじさんになった。それでも、彼らはみんな音楽をやり続けている。それは途方もなく大変なことだ。 ■M1,M2,M4は鈴木慶一を知るうえで避けては通れない楽曲群である。ライダーズの彼しか知らない人は、ちょっと驚くかもしれない。この頃の彼のルーツはGreatful Dead であり、The Bandであったのだ。M3,M9のこそばゆい感じはちょっと許せないほどである。絶対他人にはこの曲が好きだなんて言いたくない。本当にこの渡辺勝の声と曲の優しさったらない。 ■M5はかしぶち哲朗、初期の有名曲。80年代90年代には考えられない曲想。まだこの頃はつげ義春が「ガロ」でマンガを描いていた。そんな印象が強い曲。そしてM8の素晴らしさ。特にこの「センチメンタル通り」と「塀の上で」では歌詞のインパクトがすごい。はっぴぃえんどなどの「~です」「~ます」調がなんか鼻についた風に聞こえた耳にはこれらの詞の言葉選びと意外性に驚いたし、少し興奮もした。 ■今朝の朝日新聞に慶一君が父、鈴木昭生氏のことを書いている。昭生氏は77才、劇団文化座の役者として40年間活躍、現在も現役で頑張っておられるそうだ。テレビ創世期の外国番組の吹き替え、ナレーションを担当されたことも。ライダーズの次回作(5月発売!)では、そのナレーションをある曲の中で披露してくれるという話だ。結成30年にして、父と子、初の共演である。 ■さて、追悼高田渡である。彼と、はちみつぱいとの競演は88年の再結成ライブで聞くことができる。ああいう風貌だったので、もっと世代が上の方だと思っていたが、このグループとほぼ同世代なのである。北海道の公演の最中に倒れ、そのまま逝ってしまったという。最後まで音楽を止めなかった人である。生活の柄を変えなかった人である。ご冥福をお祈りします。 ← please vote!

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る