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2005年09月12日
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カテゴリ:
ロンリー・ハーツ・キラー

舞台は、パラレルワールドの日本というところでしょうか。
といってもSF小説ではないので、実際の日本とかけ離れた世界ではありません。
表層的なところ(地名などの固有名詞とかね)が少々違うだけで、描かれている社会は、近未来の日本という雰囲気です。

国土は砂漠化が進み、少子高齢化は進み、そしてインターネットなどの通信網がより発達した社会。
新時代の担い手として期待されていた若きオカミ(天皇を指すらしい)が急死したことによって、社会は呆然自失した状態に陥ります。
特に、未来に対する絶望感からか若者の虚脱感は激しく、引きこもり状態になる者が続出します。

というのが、小説の序盤。
オカミが政治的権力を持たないのは、現実社会と同じ。
そして、若者層が普段皇室にたいして何の思い入れもなく生活しているところも同じ。
にもかかわらず、オカミの死が、虚無感にとらわれる若者達にたいして「きっかけ」になってしまったということになります。

そんな中、
「この世はあの世なのだ」
「生かされているだけの自分達は、死んでいるのにかわりない」
と悟り、親友いろは(女性)の恋人(男)と心中をしてしまう青年・井上の思想がネットによって広く伝播し、社会は一転、心中ブーム(?)が起こります。

青年の思想に共鳴した若者どうしが心中しているうちはまだよかった。
次第に、為政者に対する憤りも高まり、権力者を暗殺してから自らも命を絶つという暗殺心中も増えてくる。
そして、今度は、関係ない人間を巻き込む無差別心中まで流行ってしまう。
そうすると、人々の間にいつ殺されるかわからない恐怖が蔓延し、過剰正当防衛に走る者も出てくる。
やられる前にやってしまえという風潮さえ生まれてくる。
……

……という流れで、井上が心中するまでは彼の手記という形で、その後は残されたいろはの手記という形で、社会の変化が具体的に描かれていきます。
(心中ブームはどう終結していくか、ということもそのあと続きます)
特に、心中ブームの行方は、秩父の山荘に篭って社会から距離をおくいろはの視点で描かれるため、読んでいるほうも、新聞やTVニュースをみるような気分になります。
実際、陰鬱な気分になるような事件で新聞紙面が埋め尽される今日この頃、それと同じ気分に襲われます。

すごい殺伐とした内容の小説なんだけど、読んでいてそういうことがいずれ起こっても不思議でないようなリアリティを感じました。
未来に対して、絶望感までもいかなくても、不安や不信感や虚無感というのはすでに私達の中にあるわけですから。
そして、いつ自分もそういうことに巻き込まれるかもしれないという恐怖心というのも、実感としてわかるのです。

社会において、全ての人はただ流れの中にあるだけなのか。
権力者も非権力者も、ただ流れの中でそのつど求められる役割を果たすだけなのか。
人は生きているのか、生かされているだけなのか。
主題は、いまいちよくわからないのだけど、そういうことも読み取れます。

折も折、総選挙が実施された日に、この手の本を読んだりなんかして、ちょっと淀んだ気分になってしまいました。





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Last updated  2005年09月13日 01時51分25秒
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