ちょっと休憩

2005/10/10(月)03:08

宙組公演「炎にくちづけを」

宝塚歌劇&so on(28)

妹と2人で宝塚観劇(at 東京宝塚大劇場)。 昨日は、私のところも妹のところも子供の運動会で、親参加の競技(こちらは超真剣勝負のクラス対抗綱引き)のために2人とも全身筋肉痛をこらえての観劇です。 おかげで窮屈な座席がさらに辛いものになりました。 <注意> 宝塚を知らない方は、劇場の座席を映画館の座席くらいだろうと考えてはいけません。 はっきりいって、映画館の座席なんて、ここと比べれば天国に近いです。 前列との隙間がほとんどなく、席の行き来も隣同士接触を避けられずに非常に遠慮しながら行うくらいなのです。 足も伸ばせません。 よって、宝塚を観劇するというのは優雅とは程遠い行為です。 時々、着物姿でいらっしゃる人もいるけど、大丈夫かしらと心配してしまいます。 さて、宙組公演「炎にくちづけを」「ネオ・ヴォヤージュ」。 どちらもとてもよかったです。 「炎にくちづけを」の途中、舞台装置の不具合とかで、舞台が一時中断されたのだけど、物語の前半だったので、あまり気にすることなく、すみました。 「炎にくちづけを」。 オペラ「イル・トロヴァトーレ」(観たことないですが)を元に宝塚的にアレンジされているもので、とてもドラマチックな音楽劇でした。 舞台は15世紀のスペイン。 ジプシーである吟遊詩人マンリーコと宮廷女官レオノーラの恋を中心に、その土地の権力者ルーナ伯爵のジプシーに対する弾圧が描かれます。 さらに、実はマンリーコは伯爵の実の弟であったという出生の秘密もあり、ドラマはまさしく劇的に悲劇的に進んでいきます。 身分違いの恋と出生の秘密、血を血で洗う復讐劇に因果応報、情念の激しさ、漂白の民への政治的弾圧、悲劇的結末……歌舞伎の題材にも通じるようなもりだくさんな内容がストレートに描かれてます。 よって、物語の流れもかなり端折った感じになっていて、いわゆる「つなぎ」のシーンはほとんどカットされて言葉で説明するのみ、すべての場面は見せ場のみという形になっていました。 それが物足りないかというとそんなことなくて、かえって無駄なシーンがないから退屈する暇がないという感じ。 いつでもクライマックスなので、少々つじつまが合わないところなんかも、人間の描かれ方が表面的だったりするところも、ストーリー展開が唐突で駆け足状態であるところも、あまり気にする余裕もなくどんどん引き込まれてしまいました。 また、中世キリスト教の非寛容とジプシーたちが象徴する自由との対立、というテーマも前面にわかりやすく描かれているのもポイント。 ことごとく殺されていくジプシーたちに、いつの時代にも(今の時代にも)弾圧されてきた非キリスト教徒や社会的弱者の姿を見ることができ、ますます芝居の悲劇性が高まります。 マンリーコが死んでいくシーンは、イエス・キリストの処刑にも重なって、原作のオペラを観たことはないけど、実際に欧米の人々はどのようにこれを観てきたのだろうと考えてしまいます。 正直言って、今まで宝塚の芝居でここまではまったのは初めてでした。 こんなに泣いたのも初めて。 後半は滂沱の涙で、舞台が霞んでしまうほど。 ラスト幕が下りるまで、涙が乾く暇もありませんでした。 場内が明るくなってから隣を見たら、妹もだらだら泣いていて、お互いに照れ笑い。 ただ気になるのが芝居のタイトル。 芝居内容からいって、そんな熱い青春ものみたいなタイトルじゃなくて、もっと文学的なタイトルでもいいと思うのだけど。 そして、とにかく、主役の和央ようかさんと花總まりさんの2人がよかったです。 舞台に立っているだけで、オーラを発してる2人。 絶大な存在感と歌唱力、キャリアの長さをまったく裏切らない完成されたコンビで、観ていて溜息が何度もこぼれます。 「あなたが生きている それだけが我が望み」 の歌詞もすごい説得力で泣かせます。 互いに、互いの生だけを望んで自らは死にゆくという恋の姿勢に、もう何もいうことありません。 そして敵役となる伯爵役の初風緑さん、安定した歌唱力で、聴かせます。 第2場で、わおさん、お花さん、初風さんの3人が揃って歌うところで、早くも心拍数が上がりっぱなしになってしまいました。 それから、タニちゃん(大和悠河)……、あまり出番はないのだけど、やっぱり音楽劇になってしまうとちょっと歌はキツイかな……好きなんだけどね……。 ここまで書いたら、疲れました。 ショーについてはまた明日にでも書きます。

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