ちょっと休憩

2006/03/11(土)01:55

4冊まとめて感想文

本(127)

感想文を書きそびれた本4冊。 まとめて「ちょっとずつ感想文」。 ●帚木蓬生「千日紅の恋人」(新潮社) 社会派小説を書いてる作家というイメージでしたが、これはテイストが違います。 38歳、バツ2の女性の地味な日常を描いてます。 とはいえ、さりげなく老人福祉の実態が盛り込まれていて、なかなか勉強になります。 主人公が大家を勤めるアパートの住人とのやりとりや介護ヘルパーのパートの様子がたんたんと描かれているだけなのに、そのリアルゆえに退屈しないです。 38歳の主人公のファッションや嗜好などが、「若さ」にかけているように思えるけど、まあそれは個性ということで。 誠実な人は報われるという結末に読後感はすっきりです。 ●横溝正史「本陣殺人事件」(春陽文庫) 戦後間もない頃に描かれた金田一耕介デビュー作品。 彼の薬物中毒時代や、探偵になったきっかけなど彼の知られざる過去がわかります。 ミステリーとしては、昔懐かしい密室物。 「名探偵コナン」みたいなちょっと現実感のないトリックだけど、それも昔なつかし「探偵小説」という感じでいいです。 とはいえ、すっかりだまされました。 そして、映画でおなじみのあのおどろおどろしい世界も楽しめます。 (ほか2編)。     ●カレル・チャペック 「ひとつのポケットから出た話」 「ポケットから出たミステリー」(どちらも晶文社) 犯罪にまつわる短編集(1篇1篇はかなり短いです)の2冊。 ミステリーといっても一般的なイメージのものではなくて、犯罪に対する哲学的考察といった感があります。 ユーモラスだけどアイロニカルで寓話的な話になっていて、奥が深くてなかなか考えさせられます。 (特に前者のほうがその傾向が強いです) 1929年の作品なのに、今読んでもちっとも古びてないです。

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