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テーマ:最近観た映画。(39926)
カテゴリ:映画
テレビ東京のお昼のロードショーでやっていたのを観ました。
「シャレード」(02年) 監督:ジョナサン・デミ オードリー・ヘップバーン主演の名作「シャレード」(‘63年)のリメイク、……なんだけど、結構不思議な出来になってます。 離婚を考えていた矢先に、夫の死に見舞われた妻。 殺された夫が実はスパイで、妻にさえ正体を明かしていなかったことに愕然とする。 その夫がかつての仲間を裏切って独り占めした大金をめぐって、その仲間たち、合衆国政府の役人、フランス警察が彼女につきまとう。 金のありかはどこなのか、誰が夫を殺したのか、謎を解く鍵を求めて彼女も右往左往。 そして、夫の死の直前に旅先で出会った謎の男に対して疑心暗鬼になりながらも、恋に落ち……。 ……という、パリを舞台にお宝争奪戦が繰り広げられるサスペンス・ムービー。 という骨格はオリジナルと同じで、時代を現代に移したものになってます。 大金のありか、も同じです。 ただし、オリジナルでは25万ドルだったのが、600万ドルに跳ね上がっているところが現代的。 しかし、なんというか、観ていて「私は何の映画を観ているのだろ」という気にさせられる映画です。 不可思議なシーンが随所に現れるもんだから、観ていて白昼夢の世界にいざなわれているようです。 それって、ヘップバーンのおしゃれ感満載のオリジナルに対抗してなのか。 はたまた、舞台がパリだから、フランス映画へのオマージュを決め込んだのか。 意図はとくわからないけど、よく言えばサービス映像満載ってとこだけど、つまりは、いろいろやり過ぎた感が否めない映画なのです。 オリジナルにおいては、オードリー・ヘップバーンがなにしろ「妖精」といわれた女優だけに、ふつうにサスペンスを製作しても、どこか現実離れしてオシャレでコミカルな得がたい魅力がスクリーンにあふれます。 それをリメイクしようとすると、こんなことしなくちゃいけないのかと思わせる暴挙にでることになってしまうようなのです。 たとえば、こんなシーン。 例1、登場人物がホテルの部屋で、シャア・アズナブール(もちろんシャンソンの大御所で、赤い彗星のシャアではない)のCDをかけると、窓の外にご本人が登場して歌い出す。 (よく、本人が出演してくれたと、そっちが驚きだが) 例2、ナイトクラブのようなところで、敵味方が一緒になってタンゴを踊りだす。 なんだかインド映画のノリのようなシーンが、ストーリーに独立することなく組み込まれてしまうあたり、なんともはや。 せっかくのサスペンス感がゆるみまくり、です。 おまけに、映画監督のアニエス・ヴェルダが、切れた未亡人役として主演(友情出演?)するあたりで、もはやこれはブラック・コメディーなんではないかと思わせてしまうのです。 ラストあたりの彼女が監獄の給仕係として登場するシーン、何かほかの映画のオマージュ(見たことある気がするけど、思い出せない)となっていると思えるのだけど、まったくストーリーには関係ありません。 しかし、彼女の迫力あるアップで、気の毒にも主役たちの存在もこれまでの映画のストーリーも見事に吹っ飛んでしまいます。 それに畳み掛けるように、またもやシャア・アズナブールが登場、最後にも赤いバラを持って歌って、映画を締めくくってくれます。 すごく脱力します。 そうそう、キャストについても書いておかねば。 オードリー・ヘップバーンが演じたレジーナ役は、タンディ・ニュートン。 私は知らなかったのだけど、「ミッション・インポッシブル2」でヒロインを演じたイギリスの女優さんだそうです。 黒人と白人のハーフで、スリムでキュート。 ヘップバーンとはもちろんぜんぜん似ていないのだけど、バリバリの白人体系の女優がやるよりは、いいのではないかと思われます。 かつて「麗しのサブリナ」のリメイクで、ジュリア・オーモンドがサブリナ役をやったとき、あまりのイメージの違いに愕然となりました。 彼女が悪いというのではなくて、オードリー・ヘップバーンが白人女性として特殊ということなのでしょう。 そういう意味では、タンディ・ニュートンは「妖精」ではないけど、小作りでスリムでキュートで、目が大きくて豊満なセクシー系じゃない、という点で、評価できます。 そもそも人種も違うので、わりきれるという気もします。 ケーリー・グラントが演じた謎の男ピーター・ジョシュアは、こっちではジョシュア・ピーターズとなってマーク・ウォルバーグ。 往年のハリウッドの典型的二枚目に対して、ちょっと猿顔で二枚目といっていいのか微妙ともいえる俳優の起用。 現代では美男美女の基準が多様化しているということなんでしょう。 おかげで、謎めいた雰囲気はあまりない男にはなってましたが。 ついでにウォルター・マッソーが演じたバーソルミューは、ティム・ロビンス。 彼もこんな映画に出るんだなあと。 ヒロインが無国籍風になったので、それにあわせて、その他大勢様も他国籍に。 夫の昔の仲間、白人男3人組は、リメイク版では白人男、黒人女、アジア系男の組み合わせに。 そんなかんだで、異国情緒豊かな(アメリカ人にとって)パリを舞台にした無国籍映画となった「シャレード」でした。 たぶん、主役2人が現代的な雰囲気の俳優の器用なので、もっとオーソドックスな現代ハリウッド的アクションサスペンスとして製作すれば、それはそれで形になったような気もするけど……。 まあ、本邦未公開作品だった、というのも頷けます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009年11月11日 18時30分24秒
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