2007/07/23(月)17:33
日税連会長選考迫る
7月25日は日税連会長選考が行なわれる日です。
また29日は国政の参議員選挙へと続きます。
我々税理士会員にとって25日は、まさに革命が起きる日と言っても過言ではありません。また国民にとっても29日は革命が起きた日となるかもしれません。
ただ 同じ選挙とはいえ、公平に選挙権のある国民と、全く蚊帳の外におかれている税理士会員とでは、中身が異なるのです。
つまり 我々一般税理士には、選挙権がないのです。
役員選任規則があるようですが、談合、癒着、利益誘導が罷り通り、連判状まで取り交わしたと言う怪談が流れております。
せめて会長選考会こそ公明正大に実施して欲しいものです。
選挙権をお持ちの税理士会員の皆様に対しては、税理士業界を代表してるという自覚を持って、自分の意思でマニフェストをしっかり読まれてから投票されることを期待しております。
604年、聖徳太子は、豪族たちに国家の官人(役人)としての心構えを『十七条憲法』として示しました。
日本で初めて「憲法」という言葉が使われ、これによって理想的な国家作りを行ったのです。
憲法十七条(簡約)
1 和を大切にし,人と争わないように心がけなさい。
2 あつく三宝(さんぽう)を敬え。三宝とは,仏・法・僧であり,
・・・・仏教を信仰しなさい。
3 天皇の命令には必ず従いなさい。
4 すべての役人は礼を守りなさい。礼は民を治め官人の序列をも
・・・・維持するもの。
5 私利私欲を捨てて,民の訴えを公正に裁きなさい。
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17 大事なことは一人で決めず,多くの人々とよく議論してから決めなさい。
あくまでも 聖徳太子が作った「十七条憲法」とは、現在の「日本国憲法」のように国民全体に対してのものではなく、朝廷内における人々の心構え、すなわち倫理規定を定めたものです。
「官僚の心得が厳しく説かれているもの」ということを前提にあらためて読んでみると、当時の政治状況がうかがわれます。
私は、この中の第5条がとても大切ではないかと思っています。
五曰。
絶餮棄欲。明辯訴訟。其百姓之訴。一日千事。一日尚尓。况乎累歳須治訟者。得利為常。見賄聴 。便有財之訟如石投水。乏者之訴似水投石。是以貧民則不知所由。臣道亦於焉闕。
第五条に曰く
食におごることをやめ、財物への欲望を捨て、訴訟を公明に裁け。百姓の訴えは一日に千件にも及ぼう。
一日でもそれなのに、年を重ねたらなおさらのことである。この頃訴訟を扱う者が、利を得ることを常とし、賄賂をうけてから、その申し立てを聞く有様である。
つまり財産のある者の訴えは、石を水に投げこむように、必ず聞き届けられるが、乏しい者の訴えは、水を石に投げかけるようなもので手ごたえがない。
このため貧しいものはどうしようもない。臣としての役人のなすべき道も失われることになる。
『全現代語訳・日本書紀』(宇治谷孟編・講談社学術文庫)より。
「政治に携わる者は私利私欲を捨てて、公平無私の立場で訴訟を行うように」「公平な態度で裁判を行うように」ということです。
我々一般の貧しい税理士たちの声は、水を石に投げかけるようなもので手ごたえがないのでは困るのです。
公然と賄賂を受け取り、不公平な裁判をしていた当時の役人達に対する聖徳太子の強い怒りが、この「十七条憲法」に感じられます。
赤城農林大臣の事務所費や地方議会の政務調査費は報酬とはべつに支払われています。
収支報告書には全ての領収書の公表を義務付けておりません。
聖徳太子の怒りが、政治と金におぼれる現代の役人・政治家には聞こえていないのでしょうか・・・
日税連の会長選考が、「十七条憲法」第5条の精神で貫かれますよう、期待してやみません。
安西節雄