2012/10/05(金)08:13
実費弁償(費用弁償)という名の媚薬
皆さん実費弁償(費用弁償)という名目で金銭をいただいたことがありませんか。
先日ある会議に参加し、封筒に実費弁償とゴム印で押印された金5000円也をいただきました。
いただくのは確かに有難いのですが、明細もなく源泉もない。
ただ収受の受領印を押すだけです。
いつも、このようなお金をもらうと収入計上すべきか否かで考えます。
実費弁償…言葉の通り判断すれば立替実費の補填ということでしょうから、交通費実費の精算という意味合いのものでしょう。
我々がいただくのは3000円~5000円というところでしょうが、会場への距離にかかわらず各人とも定額で支給というのは交通費の精算なのか報酬なのか迷わせる一因でもある。
交通費はどうせパスモで支払って実質的に経費計上しているはずなので、実費弁償を収入に計上しないのも気が引ける。
給与所得の規定で、職務遂行上の旅費については非課税とされており、支払者は旅費規定などを作って定額支給したりしているはずです。
また地方自治法においても、その職務を行うために要した費用の弁償が明らかなものは非課税とされており、こちらも条例の定めにより定額支給されているはずです。
上記のいずれも、規定に従った支給であれば税務当局も特に問題にしないのが実情のようです。
本来は実額精算が建前であるはずではあるが、最高裁の判例においても実際の支払額にかかわらず標準的な実費である一定額を支給することも許されると解している。
これを都合良く利用し、
支払者の便宜上の都合(簡易な定額支払、源泉事務の省略、支払調書作成不要)や受給者の思惑(非課税収入)が絡み合い、
報酬的なものを実費弁償の傘の中に潜り込ませるようなことも考えやすい。
ある県の県議会出席における議員の費用弁償が1日14000円程で監査請求の対象になっている例もあるようだ。
実費弁償(費用弁償)は税務の隙間を突いた妖怪なのかもしれない。
萩原博之