2013/03/26(火)08:45
「10年後に食える仕事・食えない仕事」
<日本人の72%は10年後に食いっぱぐれる!?>
この衝撃的な帯に引かれてこの本を 手にしていました。
ソニー・パナソニック・シャープのように日本を代表する企業が多額の赤字を計上し雇用者がリストラされていく今日。
10年後に生き残る会社はどんな企業なのだろうか。
基本的にはグローバル化の時代に生き残れる企業群を紹介していました。
ある日、突然 外国人労働者に切り替わる日も近いのかもしれません。
この中で、著者の渡邉正裕氏は、職業を4つのタイプに分類しています。
■グローカル・・・・・・・・・ 5.5%
日本市場向けの高度専門職
例 : 弁護士や税理士
■ジャパンプレミアム・・・・・・16.3%
日本人ならではのサービスマインドが武器になる職業
例 : 保険・証券セールス
■無国籍ジャングル・・・・・・・・3.0%
日本人メリットは低いが、勝ち残れば青天井
例 : 建築家や会計士
■重力の世界・・・・・・・・・・・72.5%
人種が無関係で、グローバル化とIT化の影響を強く受ける。
将来は最低水準賃金となる。
例 : プログラマー、検査・組立工、タクシードライバー
現在の日本では、72%もの人が「重力の世界」の就業者とのこと。
「重力の世界」とは「重力に引っぱられるように給与が下がっていく」という職業です。
税理士や弁護士・社会保険労務士は日本人の強みを生かしつつ、グローバル化にも対応できる仕事として生き残れる職業として紹介しています。
しかし 会計士は会計基準のグローバル化にともない、共通化してゆき、世界の有能な人材との戦いを強いられる弱肉強食の仕事で、
規制で守られている「監査業務」ですら、将来的には危ういようです。
自分の職業が今、世界の中でいかなる位置にあるべきかを知りうえで参考となる一冊でした。
しかし 私は 税理士業は 楽観視はできないのではないかと 思っています。
ここ数年なくなった職業の背景には、大きなふたつの流れがあると思います。
『グローバル化』と『技術進歩』です。
この本では『技術進歩』について記載されていないのです。
20年前にはiPhoneなんて誰も想像できませんでした。
デジカメがフイルム写真を席巻してしまいDPE屋さんが町から消えてしまいました。
今でこそインターネットは当たり前のように仕事のスキルを高めていますが、
これからはクラウドの時代。
税理士はグローバル化では生き残れるとしても、
クラウド会計が銀行口座やクレジットカード、ICカード(現金)の
オンライン明細を自動で取り込み、
自動的に仕分けして月次試算表が出来、
経営分析表が出来、
決算表まで作成されるのです。
キーボードからの伝票入力業務が消えてなくなるのです。
領収書は無くなり、巡回監査も不要となります。
更に、そこから税務申告書までもが自動的に作成され電子申告が可能となる時代がそこまで来ているのです。
今、マイナンバー法案が審議入りされました。
税理士会はマイナンバー法案が申告納税の補完される制度として賛同しています。
本当にそうでしょうか。
マイナンバー法案は申告納税の根幹をなすものと理解しています。
自動的に 確定申告書が作成されるのです。
規制で守られている税理士業務ですが、
『技術進歩』により、10年後の職業欄に「税理士」は消えているのではないかと危惧しています。
安西節雄