2017/06/27(火)09:33
消費税と徴税事務
こんにちは、税理士会所沢支部の岸野です。
ようやく梅雨らしくというか夏らしくというか、季節が移り変わったと感じていますが、
皆様夏気分はありますか?
先日、仕事仲間から「知り合いが消費税のことで某税務署にいじめられているから、
相談に乗ってやってくれ」と話がありました。
え、いじめるってよほどのことでないか?
相当悪いことをしたんじゃないか・・・などと思いながら、来所されるようにお話しました。
お会いして話を聞いてみると何のことは無い、基準期間や課税期間に関する、
簡単な認識違いでした。
聞けば、申告も慣れてきたから、税理士はつけずに頑張ってやってて、
あるときから二年連続で税務署に呼び出しを受けて、散々怒られたと。
おまけに罰金がありますといって加算税取られ、
さらに「もうしません」を書かされてクヤシー!!とのことでした。
そんなわけで、「基準期間って、まあ要は2年前のね・・・」
「で、2年後は1億売っても100万しか売らなくてもね・・・」
「で、来年と再来年はね・・・」と、消費税の仕組みと、税務署が呼び出した理由と、これからの対処をお話して、
スッキリして帰っていただいたのですが・・・
つくづく、消費税の実務上、課税上の存在感は、非常に大きくなってきていると感じます。
税理士賠償が多いのは消費税、軽減税率も一応決まっているのでいよいよ多段階税率化し、
さらに先の基準期間や95%以上の仕入税額控除の改正など・・・実務的な存在感が増すばかりです。
これまで、5%、8%だけ+経過措置くらいであれば、簡易課税でなんとか自力で、
あるいは税務署窓口で対応できるでしょう。
しかし多段階税率になると、税理士も、法人税・所得税のついでで課税・非課税。。。
とだけでは行きません。
消費税申告だけのお客様というのも、すでに存在しています。
これで多段階税率になれば、税額に大差は無くても、
すごーく神経使っちゃうんでしょうね、我々は。。
また課税上では、様々な解釈が伴う直接税に対して、基本的に実体課税中心の消費税は、
課税当局の面倒も少ないし、何より税収の規模のみならず、質的安定性が大きい。
加えて先日、地方公共団体の税務課で聞いたのが、
「地方消費税は税務課はなーんにもしなくていい、ただ入ってくるだけ。らく~!」と。
1700の自治体が人と時間を投入して税収確保に走らずとも、
国が譲渡割額を徴収して都道府県に、さらに市町村に清算分配するだけ。
なるほど、確かに楽だ、と思いました。
間接税の所得間の不公平さばかり着目されてますが、
自治体の各種税目における課税コストや徴税事務の煩雑さは、
様々な地方税申告を作る我々税理士が一番実感します。
課税自主権とはいえ、地方税法を基礎としているのに、
なんでこんなにルールも様式も考え方も違うんだろう、と・・・
北欧諸国が間接税で福祉大国という部分がよくクローズアップされますが、
こうした徴税事務の合理性への理解が、間接税の国では進んでいるのかもしれません。
インボイスなども徴税事務の合理化に対する伝統的な知恵のようなものがあり、
ただ真似を目指すのでなく、その観点で国も我々ももっと考えた方が
良いのかもしれませんね。
公平性も、非課税制度で担保するだけでなく、
実は還付申告制度の普及、改良のほうがまだまだ研究の余地が残っているように思えます。。。
などと横道に逸れまくったあげく、中途半端に天下国家を論じてしまいました 汗
先の税務職員が怒るというのは、部分的には理解できる気がします。
何人も何人も、消費税の仕組みがわからない憤る納税者に、
行政サービスとして丁寧に説明して納税までさせるというのは、本当に神経を使うのでしょう。
そりゃ、「とにかく納めて「もうしません」って書いてください!」
くらい言っちゃうのかも知れません。
それでも国税庁~税務署というのは、日本でもっとも優れた役所だと、私は思っています。
その理由はまた後日・・・(釈迦に説法?)
私たちは民間サービスとして「僕たち、税の架け橋です」とニコニコしながら、
国や税務署のせいにしながら説明できるんですから、はるかに楽なんでしょうね。
おまけに、その来所された方が、お礼と言って事務所にお酒を持ってきてくれました。
民間人でよかった^^
・・・現物売上??
岸野康之 拝