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カテゴリ:リフォーム
壁は外気との遮断をすればいいのだろうか。常にこの疑問が付きまとう。
湿度の高い日本の気候風土に合った建物は元来自然素材でできていた。土。木。紙。植物。それをうまく組み合わせて家づくりをしていた。夏の暑さ対策でもあった。いわゆる夏型家屋である。第二次世界大戦が終わり、新しい文化が日本に入った。最初に鉄筋コンクリートの公団住宅。 サッシ、システムキッチン、リビングダイニング方式等、あっという間に浸透した。過去を振り返るゆとりのない時代だったのかもしれない。それでも田舎では昔からの建築が残っていた。壁と言えば木舞を組んで、土を塗り土壁だった。その土は湿気を吸収して吐き出す役割もしてくれた。 今の住宅は隙間のない気密性の高さを要求される。どんどんと工業製品が提案される。夏型家屋が寒さをしのげる冬型家屋に変遷する時はわずかだったような気がする。エアコンが各家庭について外気との遮断は汚れた空気を室内にいれないためでもあった。人間が自然との共生を拒否した時、自然はどんどん汚染されていった。自然を拒否した室内空間には目に見えない細菌やカビが繁殖していった。これからますます自然との共生がなくなって空気すら吸えなくなる時代が来るかもしれない。 ちょっと外れてしまったが、どんなに強固な壁でも隙間はできる。土壁は塗ることによって面を作れる。工業製品は規格があってつなぎ合わせている。その隙間を埋める素材は10年で寿命だ。10年したらリフォームをと言われた現代住宅は多いはずだ。リフォームの仕事が増えるが喜ぶべきだろうか。科学の恩恵は家づくりにも浸透している。「壁をなくす。」という言葉がある。自然との壁をなくした社会はこれからますます快適になり、そして体も心も弱くなる。そんな気もする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.08.12 08:40:58
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