草色のブランケット

2006/12/13(水)00:42

インド人の靴と草色のショール

どうにか間に合いました、草色のショール。 機内で、ところどころうたた寝した以外は、 映画も見ず、 スチュワーデスが差し出してくれるジュースも飲まず、 ぶっ続けでほぼ7時間近く編んだのに、 終わらず、 現地のホテルでも、夜起きて編むぞ! と気合い入れたのに、 その数分後に寝入ってしまい、 結局、時差のせいか、朝の3時ごろにぱっちり目が覚めたときに、 「よし、いまだ!」と一気に編み上げました。 今回、アメリカの結構大がかりな結婚式にブライズメイドとして出席したのだけれど、 いやあ、こんなに大変なものだとは思いませんでした。 水曜日の夕方着いて、本番は土曜日だから、 自分用の買い物したりする時間もあるよね、くらいに思っていたのですが、 甘かった。 花嫁のおごりでブライズメイドや花嫁の義姉らと半日スパ、 という予定が入っていたり、、 当日配るプログラムの組み立て作業を2時間かけて行ったり、 コーディネーターとの早朝ミーティングに出席したり、 前日の夜のパーティのための余興について、 グルームズメン(花婿側の付き添い人たち)と相談したり、 とにかく朝から晩まで連日びっちりのかなりハードなスケジュールでした。 式や披露宴で果たすべき、ブライズメイドの役割も多くて、 「いやあ、大変だこりゃあ」と何度も思いながら 朝からろくに食べる暇もなく、あっちゃこっちゃ走り回っていたおかげで、 ぴちぴちだったドレスも、本番が終わるころには、 結構普通のフィットになっていました(笑)。 のわりに、あまり大して役に立たなかった気もするのだけれど、 二つだけ功名をあげました。 一つが、花婿の靴を取り返したこと。 韓国系アメリカ人の花嫁と、インド系アメリカ人の花婿の結婚式ということで、 インドの儀式やしきたりも混じった式だったのですが、インドの結婚式では、 儀式を行う台にあがるときに、(※訂正)花婿がぬいだ靴を、花嫁側の友人たちが取り上げて隠し、 それを花婿の親がお金を出して取り返さないといけない、 そして、買戻しの金額が多ければ多いほど、今後花嫁が夫婦関係におよぼす力の強さを示す、 という伝統(遊び?)があるということを、 当日になって知らされました。 ちなみにブライズメイドは、白人、黒人、日本人だったので、もちろん皆初耳。 でも、言われたとおり、儀式が始まるやいなや、靴を取り上げて、 後ろに座っていた花嫁の幼馴染のおじいさんに渡して、 「絶対に誰にも渡さないで」と指示しました。 ところが、そのおじいさんは英語を話さない中国系アメリカ人だったので、 おそらく意味をよく理解していなく、 適当に自分の席の下につっこんでおいたらしく、 式が終わる直前に、花婿側の友人が見つけてしまい、 靴を取り返されてしまったのです。 形だけの遊びだと思っていたら、 どうも花婿側も、まずはお金を払わないで取り返そうとするらしいことに、 そのときようやく気づき、 ブライズメイドの私たちは、地団太を踏みました。 で、式の最後の誓いが取り交わされている間、こそこそと相談をし、 靴を取ったインド人の女の子から、靴を奪い返して! と、 参列していた他の友だちに一生懸命目配せ。 結果、式が終わり、花嫁たちが退席する最中に、どうにか靴一つは奪還。 でも、インド人も負けじと、もう片方の靴は、 同じ列の端にいた別のインド人の女の子に渡してしまいました。 それを見た私は、グルームズマンと腕を組んでしずしずと退場する数十秒前に、 そのインド人の女の子のうしろに駆け寄り、 彼女がにぎっていた靴を引っ張りました。 インド人はびっくりしつつも、両手でがっちり靴をつかんで離さない! 私は時間がないものだから、「手はなしてよ!」と言いながら、 力づくで靴をもぎとり、急いでパートナーのグルームズマンのところへ戻り、 一応しずしずと退席したのでした。 私のパートナーのグルームズマンは、インド人だったのだけれど、 息切らしている私を見て、 「大丈夫? それ、持っててあげようか?」 と言ってきました。 猜疑心の強い私は、 「なにこいつ、助けるふりして、靴を取り返そうとしているな」 と思い、 「ううん、大丈夫」 とクールに答えて、ブーケと一緒にしっかりと靴をにぎりしめなおしました。 あとから判明したのですが、 実はこの彼、インド系アメリカ人にも関わらず、 この靴の取り合いの伝統を全く知らなかったらしく、 このときは、本当に親切心から靴を持ってあげようとしてくれたらしいです。 でも、花婿と他のグルームズメンから、 「おまえ、せっかく靴を奪い返すチャンスだったのに、何やってんだよ!」 となじられ、 式が終わった10分後くらいに、私のそばにやってきて、 「さっきの靴さ、、、 えっと、あのインド人のおばあさんがどうしても間近で見たいっていっているんだけど」 と、ものすごく苦しい言い訳をして取り返そうとしにきたのだけれど、 そのときには、すでに靴は、花嫁の友人夫婦のベビーカーの中に隠してあり、 私はにっこり笑いながら、 「あのね、あの靴取り返すために、 インド人のおばあさんの一人や二人ねじふせているんだから、 老人を引き合いにすればどうにかなるなんて考え、超甘いから」 と言い放ちました。 「互いを愛し、許しあい、、」という牧師のスピーチを聞いた直後に、 こんな力づくの戦いを繰り広げている私って、、 とちょっと罪悪感もあったのだけれど、 この一部始終を後から知った花嫁からは、 「よくやった! インド人たちも、ここまで本気で自分たちの伝統にノッてくれるなんて、と感心していたよ」 というお褒めの言葉をいただいたので、 功名ということにしておきます(笑)。 はぁ、そんなこんなでエネルギーをすっかり使い果たしました。 あ、そうだ、二つ目の功名が本題でした。 結婚式が行われたのは南カリフォルニアで、 ものすごく晴れて天気がよかったのだけれど、 温度はかなり寒くて、 式当日のお昼前からずっと外で、 肩丸出しのドレスで、カメラマンに写真を撮られていた花嫁は すっかり冷えてしまってました。 そのとき、ブライズメイドの友達が、 「あのショール、今あげれば?」と良いアイデアを提供してくれたので、 披露宴の最中にでもあげようと思っていた予定を変更して、 急遽その場であげました。 そしたら、涙を目に浮かべるほどすごく喜んでくれて、 その場で「あったかーい」と羽織ってくれて、 カメラマンにも撮ってくれるよう頼んでくれました。 そのときついでに自分のデジカメでも写真を撮って、、、 あればちょこっと首下ショットでも載せることもできたのですが、 実はなんと、ガジェット・フリークの私としたことが、 デジカメの充電ケーブルを持っていくのを忘れていて、 成田でぱしゃぱしゃ毛糸の写真を撮ったり 出来上がったショールの写真を撮っている間に電池を使い切ってしまい、 肝心の式と披露宴では写真一枚も撮っていないのです。。 まあ、当日はカメラマンがかなり念入りに、 ブライズメイドたちなども含めて、たっくさん写真を撮ってくれていたら、 いずれはそれが手に入ると思うのだけれど、 うーむ、功名二つを上回る失態かも。 それが原因というわけではないのだけれど、 実は今、本気で一眼レフデジタルカメラの購入を検討しています。 30歳になったらライカを買うんだ、とその昔言いふらしていた手前、 本当は、ライカのM8を狙いたいところなんですが、 50万円のカメラの価値を引き出す才能もセンスもないので、 その10分の一の、5万円台(ボディ)のニコンD40を狙ってます。 でも、そんなオタクな話はまた今度。

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