擬宝珠の橋<京橋>東京駅八重洲中央口から出て,目の前の八重洲通りを直進,中央通りを左折すると日本橋方面,今回は右折します。ほどなく地下鉄京橋駅。そして警察博物館のすぐ先。この「京橋」は勿論江戸時代に架けられた橋の一つ。日本橋から京にのぼる第一の橋,という意味でつけられた「京橋」。この下には京橋川が流れていましたが,東京オリンピックの際に川は埋め立てられ,上に高速道路がつくられたのです。高速道路をたどれば,それがもとの川筋。やれやれですね。オリンピックで得られたものも多いでしょうが,失ったものも数多い。現在,橋の名残がここにあります。橋の両側に立っていた擬宝珠(ぎぼし)の形をした親柱,明治8年の石造りの橋の柱です。(写真)擬宝珠とは、手すりや橋の欄干につけるネギの花の形をした飾りのことですね。この擬宝珠のついた親柱,江戸ではたった二箇所,日本橋と京橋でした。 橋の西側には「江戸歌舞伎発祥の地」の碑があります。1624年,京から江戸に来た猿若勘三郎さんが,この地に猿若座(中村座の前身)の芝居櫓をあげたのが江戸歌舞伎の発祥だそうです。歌って踊って・・・,歌舞伎とは日本のミュージカルなのです。東銀座の歌舞伎座では一幕だけ見られるチケットも,見たい演目の1時間前に並ぶと手に入りますよ。夏の暑い日に,芝居を見ながら涼むというのもおつな過ごし方。通は丁度良いタイミングで「中村屋~っ」と声をかけるのですね。 この裏手には「京橋大根河岸 青物市場跡」の碑があります。日本橋は魚を扱う河岸,ここは大根など野菜類を扱う河岸,というように,米河岸,材木河岸,茅場河岸など,水路が発達していた江戸ではそれぞれの河岸で船から揚げる物資が決まっていたのですね。この青物市場も関東大震災の後,築地に移転してしまったのです。 お散歩のあとは千疋屋でお茶しましょう。 |